『きっとこの娘を好きになる。最終話』

『最終話〜未来へ〜』


点と点を結んだものが線で、線とは無数の点の連なりだ。
と、中学生の時に数学の授業で教わった。

現在は過去の絶え間ない連なりから出来ていて、未来は現在を絶え間なく積み重ねていく事でできる。だったら、現在を楽しく生活していけば、未来は楽しいはず。と考えてみた。

けど、すでに決められた嫌な未来というものもある。
例えば、明日の授業の時間割、テストが来週にある、定年とか、大切な誰かの余命宣告…etc
だけど、そんな未来もいつか過去になる事ですし、笑って生活するのが正しい姿勢なんじゃないか?と思う。
なので、嫌な過去も現在の恥ずかしい失敗も決定された嫌な未来もぜんぶ受け入れて、私はそれらを笑い飛ばすことにした。



私は私によって、私の明るい笑える未来を創造するんだ。




あなただってそうでしょう?










テストが終わった。

前々の約束通り、ハル君から返事が返ってくる。
テストが終わって部活動に励む生徒もいれば、ストレスを発散させるため思いっきり遊ぶ生徒もいる。

私は自分の席に座ってハル君を待っていた。
携帯電話に『教室で待ってて!』とメールがあったからだ。

部活にはいっていない私が中々帰ろうとしないのでリコが「おやおや〜?」と絡んできたのがウザかったけど、そのリコももう部活でいない。


教室で私1人になると、そのタイミングを見計らった様にハル君が登場した。


「遅くなってごめん!」

「んーん。私が1人になるのまってたんでしょ!」

「ん。まぁ、そう。」

「ふふ!」


短い会話の後に、ハル君は無言のまま私の前の席に座った。
そのまま、1分くらい2人とも無言だった。
私は変に緊張した。
変に、じゃないか。人生ではじめて告白して、その返事が返ってくるんだから緊張して当たり前か!

つーか、ハル君が笑顔だ。
えぇ!?
OKなんかな!?どうなんかな!?何でなんも喋らないんだい!?
どうせ、昨日の夜に頭の中でシュミレーションしてきたでしょ!?さぁ、返事を聞かせて!
ハル君!!




と、心の中で叫んでもハル君は喋りださず、そのまま1分が過ぎた。
さすがに焦れてきて
「さぁ、お、ね、が、いしまーす!」とベテラン司会者がパネラーにふるように声を張ってもハル君は喋りださず、その20秒後に突然


















「ごめん。やっぱ桐原とは付き合えな…」

と言い始めたので

「えぇ!?マジかいな!?」

と妙なリアクションをとってしまった!
食い気味で妙なリアクションをとってしまった!!

「…うん。俺やっぱ木月さんが好きだ」

「うわ、そうなっちゃいます!?」

「うん。実は修学旅行から戻ってきて、学校が始まった日に木月さんから告白されて

「ありゃま!」

「で、返事ちょっとまってもらってたんだ。」

「へー…何で?」

「何でって、桐原にまだ返事してないから…」

「あー…修学旅行の最後のやつ…?」

「うん。俺、桐原のこと考えた事なかったから…それまで木月さんの事しか目に入ってなかったから…それで一生懸命考えたんだ。正直ちょっとゆれ」

「ちょっと待って!!」

「え?」

「…それ以上言うの野暮じゃない?」

「え?」

「だってさー、結局私はフラれるんだから、なんか惜しい感じ出されたら諦められないじゃん?」

「あ、ああ。そういう事か」

「私のわがままだけど…」

「なに?」

「どうせフるなら、悪者でいてよー!」

「んん?」

「まぁ、そーゆー優しいとこが好きなのかも?なんだけどさー」

「…」

「ありがとう!真面目に考えてくれて!聞かなくてもわかるよ!…木月さんとちゃんと楽しく付き合ってね!」

「…」

「わかりましたか!?」

「はい!…俺もありがとう…」

「うん!じゃあね!」


と手をふると、少しだけ気まずそうにハル君は教室から出ていった。


私は…


私は、なんか大きい声で笑った。
文字通り、『涙がでる』程笑った。笑い過ぎて涙が出た。
それ以外の意味はないのだよ?


ひとしきり笑って疲れたら帰り支度をして、陽がさして暖かそうな廊下を私は歩きだした。








私の人生ではじめての告白は失敗に終わった。
なので私はサコタと付き合う事にした。



















ええ!?本当ですか私!?


うん。マジだよ私。


きっと、ハル君を好きだったのは小林さんの私だったのかもしれない。
よくわからない。


けれどコレだけはわかる。


サコタと話している時、私から出る言葉や行動は、紛れもなく『私』のものだった。それは無意識のものだったけれど、自分と向き合って気づいた。
きっとハル君からOKをもらって付き合ったとしても、長くは続かず破綻したと思う
もう私は『私』だから。



ハル君にフラれたその足で、そのまま美術室へ向かった。


最初サコタは相手にしてくれず、「はいはい。でたでた。」というような相槌を28回くらい繰り返した後、それでも意思を曲げない私を見て、「マジなの?ドッキリ?」というような相槌を7回繰り返した。
私が泣きそうな顔をすると、「いやいやいや!マズイって〜!」と、見識のある大人のふりを4回した。


「痴漢のくせに!」

「痴漢関係ないし!」

「私が夢叶えてあげるよ。」

「え!?」

「私が夢叶えてあげるよ…」


と、カーディガンを脱ぎブラウスのボタンを一つ外すと、サコタからゴクリと生唾を飲む音が聞こえた。


「コレは止めねーのかよ!!」
と頭をはたくと

「いや、いーのかな!?いーのかな!?もう、逆にいーのかな!?」とテンパっていた。



その様を見て、私は笑う。
私はこんな感じがたまらなく好きなんだ




私は私の未来を、サコタと一緒に明るい笑える未来にしていきたい。




美術室の壁に立てかけられた鏡に私がうつる。


大丈夫。未来は


「きっとこの娘を好きになる!」



(おわり)

 
  • コメント(全4件)
  • ビュン 
    12/31 03:58

    最終話しか読んでないけど
    おもしろかったです

  • katznareff☆半分人間☆ 
    12/31 06:53

    ううん!よもやの結末!!
    結婚する“あの女”って優雨じゃなかったのかぁ……。サコタと付き合うってヤケクソじゃないの?


    …なんて思ってしまいましたが、長期連載お疲れさまでした!毎回すごく楽しみでした(^-^)
    もう一度最初から読み返してみたいと思います

  • のっぽりん(イベ仲間◎ 参加×) 
    12/31 07:22

    サコタかい
    て思っちゃっ


    サコタとの その後も気になるな



    また暇があれば最初から読みます


    毎回 楽しみながら読んでました


    お疲れ様でし

  • さきちゃん 
    12/31 16:47

    毎回楽しみにしてました
    疲れ様でした

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