ウエポンのweapon

 事務所に入って、
 3年目を迎えた頃



 蜷川さん演出の
 
 『新・近松心中物語』という
 舞台に出ることになりました。



 この頃の私は、


「虹色定期便」(NHK教育)
「ホーリーランド」(テレビ東京)


 と立て続けにドラマの
 レギュラーを獲得。



 小劇場を抜け出し、
 イケイケな時期でした。



 そんな時期に
 蜷川さんの舞台ですよ?



 来たんじゃないか?
 オレ、来たんじゃないか?



 自分自身に
 期待が高まります。



 しかし、
 現実は厳しいものです。



 私が頂いたのは、
 「座頭3」という役でした。



 座頭という職業は、
 

 呼子という笛を吹きながら
 街中でお客を見つける、

 盲目の按摩さんです。




 物語の中での私の役割は、
 


 杖をつきながら、
 ただ歩くだけ。



 ええ、
 ホントに歩くだけなんです。



 セリフもなく、


 全120公演
 ただ杖をついて街を歩く…



 どこをどうやっても
 それだけなんです。



 完全に「街の風景」です。



 自分の武器が
 通用するしないの前に、


 
 必要とすらされません。
 


 自分なりに
 作品に貢献したかったのですが、



 ひたすら無力でした。


 
 自分の存在が何なのかさえ
 分からず震えている、
 「15の夜」でした。

 
 
 「僕が僕であるために」
 何をしたらいいんだろう?



 1ミリでもいいから
 存在感を残したい…
 


 私は考えました。



 今ここで繰り出せる
 武器は何もないのかい?



 私が思いついた武器は、


 小さな「大福餅」でした。



 小劇場時代からの武器である
 “デブキャラ”にすがり、



 全120公演
 毎回大福餅を食べながら
 登場することにしました。



 ムニョ〜ンとお餅を伸ばしながら
 ただ歩く。



 誰が見てる訳でもありませんが、
 


 私なりの
 ささやかな意地でした。



 ちなみに私、
 ドラマに出るようになった今でも



 現場に食べ物を持ち込みます。



 役への準備だけでなく、


 そのときのトラウマなのかも
 しれませんね。



 リッチマン・プアウーマンの時も


 
 デスクの上にアレコレ
 食べ物を置いておきました。



 困ったときのための



 小さな守り刀…
 だったと言えます。



 おしまい。

 


 追伸 ディスコステップ、
 せっかく身につけた武器ですので

 ちょっと皆さんに
 お目にかけたい。


 もしかすると、
 エイプリルフールに
 見られるかも…
 ニヤッ