『ぼくと二郎さんの10 年戦争。』

  • 植田誠(うえはまだ) 公式ブログ/『ぼくと二郎さんの10 年戦争。』 画像1
イラッ



した程度では済まない。

ぼくの怒りの炎に火が着いたのだ。

メラッ



した。

それほど

最敬礼の

「おはようございます」



返しが

寝そべりながら白目を剥きながらの一瞥…

そして

舌打ち…

衝撃的で

屈辱的な出来事だった。



ぼくは



「神が与えた試練だ…」



と思い

耐えた…

耐えた…

耐えた…



気付くと

ぼくの

左右の握り拳から

ポタポタと

真っ赤な血が滴り落ちていた。


しかし











耐えた。











ライブが始まった。

超若手のぼく達は

トップバッター。

持ち時間は5分。


経験した事のない様な
大きな大きな夢舞台で

若さに任せて

元気いっぱい

力の限り

一生懸命に

漫才を演じさせて頂いた。

満員の500人超のお客様は優しく温かく笑って頂き

時より

「ドッ!!」

と沸いて頂いたりもした。

大勢の人が
いっぺんに笑うと

本当
マンガの表現ではないが

お客様の頭の上に

活字として

大きく文字で

「ドッ!!」



出るんだな…

そう思うくらいに

有難く幸せな5分間だった。



「もういいよ!どうもありがとうございましたぁっ!!」



持ち時間を全うし

これまた

最敬礼で
鼻が膝に刺さる位に

500人超のお客様に
溢れんばかりの感謝の気持ちを

声と体で表現し

照明が消え

ぼく達は暗転の中

次の演者さんの出囃子の曲と

お客様の大きな拍手に包まれ

舞台袖に帰ってくると










再び

「漢(おとこ)」



いた…。



舞台袖の

暗転中の

ピンスポの下に





「漢」は

いた。


新参者の

ぼく達の舞台を

「監視」していたのだ…。





ただ


先程までは

寝そべりながら白目を剥いていた漢だったが

今度は

違った…







立っていた…







二本の足を






最大限に開いて







漢は立っていた。


「人は足を開いていれば開いている程、偉い…」


と思っているのではないか?


そう思う位に開いていた…

それは、もう

相撲の股割り

に等しかった。



足は相撲の股割り…

腕を組み…

そして

顔は






天を仰いでいた。



しかし

目は

ぼく達を

蔑む様に

上から見下ろしていた。


「なぜ私が下々の民と目線を合わせなければならぬのじゃ?私と目を合わせられるのは…


そう


天のみ…

ならば私は

天を仰ごう!」

と言わんばかりに

顔は上を向いていた。





そして

漢は

そのポーズで

舞台袖に履けようとする

ぼく達の

眼前に

立ちはだかった。




ぼく達が

舞台袖に

履けようとしても

眼前に

立ちはだかり

また

ぼく達が

違う方に

履けようとしても

また

立ちはだかったのだ!




そう



とおせんぼ

をして

邪魔をしているのだ。



ぼくは

困惑した。

「この漢は何をしたいのだろう?このままでは次の演者さんに迷惑が掛かってしまう!蹴散らしてでも履けた方が良いのか?それとも逆の舞台袖にダッシュで履けた方が良いのか?しかし暗転中だ、次のネタの準備中のスタッフさんと衝突してしまうかもしれない!どうすればいいんだ!?どうすればいいんだ!?」



コンマ何秒の間に考え

ぼくは魔法を閃いた!

そして

その魔法の呪文を唱えた!












「お先に勉強させて頂きましたぁっっっ!!」











次の瞬間












門が

ゴゴゴゴゴゴォッ…



大きな音を立てながら開いた!





ぼく達は

インディ・ジョーンズさながらに

ギリギリセーフで舞台袖に滑り込み

次の

演者さんのネタが始まった。




そして

次の瞬間







足は相撲の股割り…
腕を組み…
顔は天をを仰ぎ…
眼球のみで
ぼく達を
上から見下ろしていた…

漢が

口を開いた…

















「おまえら…











なかなか…











おもろいやないか…」











ぼくは宇宙人と出会った…(つづく)