『ダイジョウブカ?』

僕のバイト先のレストランに

「呉さん」という中国人の社員さんがいる。

呉さんは、26才。

平社員だが
とても上昇志向が強い。

行く行くは店長になりたいと思っている。

そんな呉さんが

今日、店長に

「いい?バイトの皆が大変そうだな…と思ったら、大変です!と言われる前に、だいじょうぶ?と声を掛けてあげるんだよ。そしたらバイトの皆は、見てくれてるんだ…と思って信頼してくれるから。」

と実に漢文の様な良い話を

呉さんにしていた。

横で

僕も

ふむふむと聞いていた。



僕と

呉さんはタッグを組んで
仕事をしている。

2人で厨房の横の小部屋に陣取り

厨房から出てくる料理を
僕がチェックして

呉さんがお客様のテーブルに運ぶ…

そんな段取り。

ディナータイムが始まる…

17時

お店は、まだ暇。

当然、僕も呉さんも

ど暇だ。

すると

呉さんが

「チョット、ダイジョウブカ?シテキマス」と言い放ち小部屋から出て行った…

僕も

小部屋を出て

呉さんを観察してみると

バイトの皆、一人一人に

闇雲に

「ダイジョウブカ?」

「ダイジョウブカ?」

と甲高い声で
聞いて回っているではないか?

店は

ディナータイム入りたての

ど暇である。

「ダイジョウブカ?」
と言われた

バイトの皆も困惑顔だった。

しかし

呉さんは

「この店の歴史は呉のダイジョウブカ?以前とダイジョウブカ?以後に分かれる」と言わんばかりの

ドヤ顔で

鼻息荒いが

鼻毛で止まる

しかし

フンフンしながら

戻って来た。







時が経ち

19時

先程とは

うってかわり

ディナータイムの

どピーク。

誰しもが

発電するのではないか!?


という位、働かなければならない。

僕は

料理と伝票を

まるで赤ペン先生の如く

チェックし

呉さんは

文字通り

中国雑技団の様に

皿を持てるだけ持ち

なんなら

口にくわえて運ぶくらいしないと

回らない状況だ。

猫の手も借りたい!とは

当にこの事!と思える位の忙しさ。

バイトの皆も

全員が全員

墓荒らしの様な

必死の形相。

そんな殺伐とした雰囲気の中

呉さんが突然

「ダイジョウブカ?シテキマス」

と狂った。

「今、ココ離れられたら、ココが回らなくなる!」

と僕が叫んだ時には

既に遅く

呉さんは小部屋を後にしていた

僕が小部屋から

半身を出して

「呉さーん!!」

と叫ぶと

呉さんは

コチラをチラリと振り返り
一瞬…

ニヤリと笑った。






















すげームカついた。





その時の

呉さんの顔は

アルマゲドンのブルース・ウィリスの様だった…

























それが更に

すげームカついた。


呉さん亡き後…

独り小部屋に残された
僕は

湯水の様に出てくる
料理と伝票の嵐と格闘しながら

さらに

その料理をお客様のテーブルまで運ぶ

という

極真会館の修行ではないか?と思うくらいに

呉さんに
自分を
追い詰められた。

決して

自分で
自分を
追い詰めた…のではない。

呉さんに
自分を
追い詰め「られた」のだ。

その時

僕の体の動きで
確実に発電していた筈だ。

ストリートファイターのブランカの様に発電していたに違いない。

お客様から

「あ、ブランカ…」

と言われていても変しくない位の仕事量だった。

そのブランカ状態で

時折

店内で

「ダイジョウブカ?」教の布教活動に勤しむ

呉さんに

目をやると…

バイトの皆から一様に

迷惑がられている。

そりゃそうだ。

すげー忙しいのに
横から「ダイジョウブカ?ダイジョウブカ?ダイジョウブカ?ダイジョウブカ?」と甲高い声で呪文の様に聞かれたら

迷惑に違いない…

いや

迷惑以外の何物でもない。

その様な

光景を

デジャブの様に

別々の5人に聞いて回っている様子を料理を運びながら横目にしていた…

そして

6人目でそれは起こった。

6人目の
「ダイジョウブカ?」の対象は気が強いギャルの子。

そのギャルの子にも
前出の通り
「ダイジョウブカ?」布教活動が始まった…

「ダイジョウブカ?ダイジョウブカ?ダイジョウブカ?」と呉さん


「…」無視してオーダーをパソコンに打ち込む事に集中するギャル

無視するギャルを見て

呉さんは

「コノコムスメ
テンパッテル…」

と間違った判断をし

更に

追い討ちをかける呉さん!「ダイジョウブカ?ダイジョウブカ?ダイジョウブカ?」

「…」無視するギャル!

「ダイジョウブカ?ダイジョウブカ?ダイジョウブカ?」

「…」

「ダイジョウブカ?ダイジョウブカ?ダイジョウブカ?」

「…」

「ダイジョウブカ?ダイジョウブカ?ダイジョウブカ?」

「…」

「ダイジョウブカ?ダイジョウブカ?ダイジョウブカ?」

「…」

一進一退の攻防。

互いにゆずらぬ大相撲!

水入りか!?と

誰しもが思った瞬間!

僕は


を疑った…

















「うるせーよっ!」














ギャルが言い放ったのだ。

「ダイジョウブカ?ダイジョウブカ?ダイジョウブカ?」

の攻撃を全て受け止めての一撃












「うるせーよっ!」



そのギャルの一言で

呉の

「2012年 呉のダイジョウブカ?侵略」



終止符が打たれた…


















抑留先から帰って来た
帰還兵に

僕は一言

「大丈夫か?」と声を掛けた。







すると
呉さんも一言





















「ナニガスカ!?」


と甲高い声で返して来た。



















すげームカついた。

このままじゃ

呉は終わらない。

 
  • コメント(全4件)
  • パン*パズドラとドラポにハマる 
    5/4 01:48

    呉……まるで、呉越同舟…
  • 魔太郎(招待NG) 
    5/4 11:34

    読むのすげー疲れた
    呉さんダイジョウブカ?(笑)
  • だいごとまこと 
    5/4 18:39

    腹抱えて笑いました!この「ダイジョウブカ」素晴らしいブログ、いや、作品ですね!

  • 植田誠(うえはまだ) 
    5/6 00:58

    皆様、読んで頂いて
    申し訳ありません
    m(__)m

    疲れさせてしまって
    すみません。

    次回から長編

    前編 中編 後編



    分けさせて頂きます

    まこと
    自分の事が書かれた記事に「いいね!」付けてんじゃないよ(^-^)

    でも、ありがとうm(__)m
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