映画「ノルウェイの森」感想

  • 戸田彬弘 公式ブログ/映画「ノルウェイの森」感想 画像1
今日は全然日記更新してなくてごめんなさい。


そして、コメントも返せてなくてごめんなさい・・。


昨日、ノルウェイの森見てきました。

大好きな小説です。


以下感想を簡単に書きますね。



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜




監督:トランアンユン
撮影監督:リーピンビン
原作:村上春樹
主題歌:ビートルズ


と来たら、なんかとんでもない事が起こりそうな、そんな面子ですね。


すっげー!!



映画の内容は、皆さんご存知だと思うので省きます。

簡単に言うと、愛する人を失った喪失感から再生へ向かうお話です。



村上春樹さんの本は、映画化に不向きであると思ってるのですが、なかなか良い出来で正直驚きました。


勝手な解釈ですが、村上春樹さんの独特の世界観は言葉の「美」にあるのだと思っています。

時に批判されてるようなナルシシズムな言葉。ロマンチシズムな言葉の数々と状況。

その、普通に書かれたのでは嫌煙してしまいがちな内容や人物達にも関わらず、そこに発せられる言葉や描写の「美」が読み手を遠ざけることなく、陶酔させているのだと思うのです。


文章の「美」を映像化するのは、本当に難しいことです。


なぜなら、言葉が際立ちすぎたり浮いてしまうから。


かといって言葉を変えてしまうと、それはもう村上春樹さんの世界じゃなくなる。


だから言葉と戦うしか無いのだと思うのです。

それはそれは難しいことだと思います。


監督も、俳優も、カメラマンもかなり難しい戦いを強いられるのだろうと予想できるのです。



「言葉」に勝つためにしたこと。


それは、「俳優を動かすこと」「俳優の息吹を感じさせること」だったと思います。


台詞回しのシーンをただ会話させるだけじゃ俳優は言葉に負けてしまう。
かといって、言葉を弱くするのは違ってる。


そうしたときに、喪失感の中であえいでいる人物達に、前に進もうと「歩く」「動く」ということを常に共用したのだと思います。


身体性から見えてくる人間の力が加わって、言葉だけが浮いていないシーンが出来上がっているのを感じました。


カメラはクローズアップで人物を追い続けるのに徹します。

一番大事でもあるセックスやキスシーンでは、普通じゃない距離感に二人を配置して、長回しで人物の息吹を捕らえていきます。

少しでも、繊細な感情や関係性を逃そうとしないカメラワークにドキドキしっぱなしでした。


菊池凛子さんが演じる直子の処女喪失のセックスシーンや、直子がワタナベ(松山ケンイチ)に本心を告白するシーンは、名シーンとして残るくらい素晴らしいシーンでした。


特に、告白のシーン。

山奥の診療所で療養しているからですが、一面だだっ広い草原の中をさまようように必死に歩きながら告白するシーン。

前に進みたい。でも、進めない。
自分の置かれた状況から脱したい気持ちが動きから伝わってきます。
なのに、進んでも進んでも背景は変わらない。
やがて歩いてきた道を戻り始めます。
そしてまたユーターン。
何度も繰り返した後、最終的にはパニック障害が起こり発狂してしまいます。直子は精神病患者なのです。
歩きながら言う台詞。
「キズキが自殺してから、私は愛するということがわからなくなった。どう愛したらいいかわからないし、この気持ちをどう整理したらいいかもわからない。」

後日、直子は自殺をしてしまいます。

そして、ワタナベは確信してしまうのです。

「愛する人を失った悲しみを、僕達はどうすることもできないのだ。悲しみをただ悲しんで、そこから教訓を学ぶしかない。でも、その教訓も、やがてやってくる次の悲しみの前ではとても役に立たない代物なのだ。」

なんて良い言葉だろうか・・。


もう一人の人物。緑という女の子も魅力的過ぎる。

愛を語り合うシーン。

「愛って何?」
「例えば、私がショートケーキが食べたいって言うじゃない?そしたら、あなたは今すぐ走ってショートケーキを買いに行くの。そして、急いで帰ってきて私に差し出すの。でも、私はそのケーキを窓から放り投げるのよ。もう食べたい気分じゃなくなっちゃった。って。そしたら、あなたが言うの。ごめんね。僕が悪かったよ。およびにチョコムースか何か買ってこようかと思うんだけど?ってね。」
「それって、愛と関係ないと思うけど?」
「関係あるわよ。そしたら、私は愛してあげるの。」

わー!!凄い!!何か勝手で横暴に感じるかもしれないけど、愛するってこうでもないと確かに出来上がらないような気がする。

緑も大きな問題を抱えて傷ついて生きてきた人間で、泣きながら「もう私を絶対に傷つけないで」という所が妙に美しい。

人間として、良くできた人間ではないかもしれないけど、美しい人間はそうなんだな



そして、何より新しい発見があったのは、直子の療養所での先生麗子とのセックスのシーン。


原作を読んだ時は、ここのセックスだけは理解できなかったのですが、映画を見て確信してしまったことがある。


セックスは男女間でしかなり得ない最大のコミュニケーションであるってことなんだって。


言葉を超越した、観念的なコミュニケーションがそこにはある。


愛を感じあうためがセックスだと植えつけられてきた僕らにとっては、なかなか気づきにくい。
現実世界ではそうも行かないけど、男女愛が無いセックスも素晴らしい場合があるってこと。

麗子はワタナベに言う。

「お願い。私を抱いて。」
「本気で言ってるんですか?」
「本気。きっとそうするべきなのよ。」

そうするべき・・。

言葉で説明しにくいけど、直子の死を抱えた二人だからこそ、今、セックスをしないといけなかったんだ。

次のステップに行くために終止符を打たなきゃいけなかった。


次の日、二人の別れのシーンでは、清々しい顔の二人がそこにはいる。全てが取れたわけではないけど、けじめがつけれた様な妙な雰囲気が二人の間にはある。

「直子の分も、私の分も、あなたは幸せになりなさい。」

その言葉を残して、麗子は去っていくんです。

そして、有名なラストシーンが待っている。

ワタナベは緑に電話をかける。

「君に会いたい。会って、何もかも話したい。話さなきゃいけないんだ。僕が今求めているのは君だけだよ。」

「あなた、今どこにいるの?」



「僕は、どこにいるんだろう・・。」



そしてエンドロールです。


ナレーションで最後に聞こえるのは、


「季節が巡ってくるごとに、僕と死者達との距離はどんどん離れていく。キズキは17のままだし、直子は21のままなのだ。永遠に。」




良い映画です。

トランアンユンとリーピンビンという世界的な方々に、世界に誇る日本人作家の作品を任せざるを得なかったのは残念ですが、作品を見るとわかる。

村上春樹の言葉は、日本人ではなかなか表現しきれない。日本人にしか感じ取れない部分もあるけど、浮遊するその空気感はどうもなかなか日本人には作りづらいのだろう。

 
  • コメント(全10件)
  • ゆな。 
    12/13 23:51

    映像にしたら、どんな風になるのかと思ってましたが、深いですね



    是非、映画館で確認してみます

  • §ユウ§ 
    12/13 23:55

    理解できなかった場面…
    確かに、そうでした

    もっかい読み直して
    観にいきます
  • いおリ・D  No.3 
    12/13 23:59



    オツカレサマです


    アタシも今日
    見に行ってきました


    今だにあの映像美が
    頭の中で再生してます…

    静かで激しく美しい作品
    でした



  • りぃ☆xoxo 
    12/14 00:01

    戸田さんコンバンゎ


    話聞いて、もッッと観に行きたくなった


    めっちゃ楽しみデス

  • やよいchan♪゜ 
    12/14 00:13

    じゃまいたします
    (-^ω^-)


    昨日、私も、
    ノルウェイの森を
    観てまいりました

    他の観られた方の日記を
    検索していて
    立ち寄らせていただいたのですが

    『浮遊するその空気感は
     どうもなかなか
     日本人には
     作りづらいのだろう。』
    締め括られた言葉に
    共感しました


    空気を感じる作品でした
    (*・ω・).*
  • メロンQ☆ グリまったりします 
    12/14 00:17

    こんばんは
    疲れサ
    動です
    の映画にかんしてかなり
    賛否両論があって気になってたんだけど
    田チンの感想
    読んで安心
    ました
    像もそうだけど言葉の表現はホントに難しいからかなりの確認を村上サンがしたとも
    いたょ
    ったに無い映画かもしれないな
    に行こうッと

  • うさぎ 
    12/14 01:03

    ぉ疲れ様デス

    今日は更新ナィのかな〜と思って、ちと淋しかったデス

    でも、感想ありがとぅござぃまし

    やっぱり戸田サンは発想力・表現力に優れていますね

    戸田サンのメッセージにグィグィ引き寄せられちゃぃまし

    私もぜひ観に行きたぃと思ぃマス
    りがとぅござぃまし

    (返信は、ぉ暇なトキだけでけっこぅデスョ
    気遣ぃありがとぅござぃま
    )
  • くまこ 
    12/14 06:55

    緑のショートケーキのくだり、私も大好きです

    原作が好きすぎて見るか否か迷ってましたが、
    戸田さんの感想を読んで、見る気になりました


    愛するってみんなが当たり前に持っている感情のようですが
    意外とわからないものですよね。
    私には未だによくわかりません。
    むしろ麗子さんとワタナベの行為の意味は理解できても、
    ワタナベの本当の意味での苦しみは、私にはまだ理解できない。

    ノルウェイの森の登場人物は各々が必死にもがいていて、
    なんだか安心してしまうのです。
  • はっさく 
    12/14 08:51

    (^∀^)ノ
    おはようございます

    戸田サンの感想読んでて見に行きたくなりました。
    とりあえず先に小説読もうかな。

    今読みたい本が山積みデス(笑)

    寒いですが、今日も元気だして頑張って下さい

  • きら☆リィ 
    12/14 11:12

    おはようございます


    今回の作品は
    気に入られたみたい
    良かったデス


    ノルウェイの森の監督サ
    オーラがありますね


    戸田サンにも
    輝きが
    ますよぅ に

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