映画『重力ピエロ』感想

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久しぶりに、映画の感想書いちゃいます。

映画『重力ピエロ』
原作:伊坂幸太郎
監督:森淳一
主演:加瀬亮、岡田将生、吉高由里子、小日向文世、鈴木京香、渡部篤朗


というわけで、公開中は映画館で見たんですが、勉強とテキストを探すつもりで再び観賞したのです。


あー。よくできてるなぁって思って凄く感心しました。



何か長く書いたら、読むの大変だしなぁ・・・。一杯感じたんだけど・・。


あらすじを簡単に言うと・・・・あ!!ネタバレ注意ですよ皆様笑


小日向文世さん演じる父親の吐く台詞。まさに一家の大黒柱たる、父親の象徴とも言えるこの台詞が、この一家を複雑な環境の中でも支え続けます。

「俺達は、最強の家族だ。」

というお話です。


あ、全然わかんないですよね。


ちゃんと書きます。

加瀬さん演じる長男と、岡田さん演じる次男は実は血が繋がっていない兄弟なのです。つまり父親違い。
小日向文世と鈴木京香の子供が加瀬亮・泉水。渡部篤朗と鈴木京香の子供が岡田将生・春。
しかも、再婚という形ではないのです。
渡部篤朗が高校時代に30人の連続レイプ魔を犯しており、その時の被害者の一人が鈴木京香であり、その妊娠で生まれた子供が岡田将生というわけです。
妊娠の事実を知った小日向文世は、「産もう。」と声をかけ、ちゃんと愛して育てていくのですが、鈴木京香は交通事故で突如亡くなってしまいます。
男三人で生活していくことになった父は、子供二人に、弟・春がどういう経緯で産まれたかを説明します。
父は、母が春を妊娠した時に神様に相談したのだと話します。
しかし、神様からの返事は
「自分で考えなさい。」
だったそうです。つまり何も聞こえなかった・・ということです。
そして、父はちゃんと自分で考えて産むことを決心した。だから、春は俺の子供だ。と強く伝えます。
しかし、自分が一家の恥であり、犯罪者の血を引いているという「遺伝」に悩む春は、ある事件を起こしていってしまうのです・・・。
ヘルプのメッセージを兄・泉水に気づかれるように残しながら・・・。



まぁ、ざっくりでもないですが、こういうお話です。


キーワードがいくつか出てきます。

「重力」

「遺伝子」

「ガンジー」


他にもありますが、これらが結構テーマに大きく関わってくるものだと感じました。


●まずは「遺伝子」

兄・泉水は大学で遺伝子工学を学んでいます。

その中で、色々な遺伝の話や関わりが出てきます。

■15歳までに犯罪を犯した人の子供は、同じように若い時期に犯罪を犯すケースが強いとデータに出ている。

だとか、

■養子として暮らしてきた親と子供が、遺伝子検査をすると97パーセントの確率で一致したケースがある。

だとか・・・。


まさに、今回の次男・春の抱える悩みと連携されてるのを感じずにはいられません。

レイプ犯の父の遺伝からどう逃れられるか・・。
本当の家族になれるのか・・。

春は、過去に父親がレイプを行った場所を、次々と放火していきます。
まるで、父親が連続レイプ魔であったかのように・・。


しかし、春は「犯罪」を父の渡部篤朗のように好んでしているわけではないのです。血が動かしている部分も伺えるのですが、放火の目的は火が持つ力「浄化」をしていく事なのです。


●もう一つのキーワード「ガンジー」

春の部屋には歴史的偉人のポスターが張り巡らせれていて、度々ガンジーの名言を口にします。

ガンジーといえば、非暴力主義を主張した事が一番有名ですよね。
【ガンジーは人の良心を信じていた。】ということです。

だけど、春はそれを偉大だけど残念ながら不可能だといいます。

「犯罪者を罰せず野放しにしておくと、犯罪者は犯罪をし続ける。」

と言い切ります。


おそらく、自分の中に流れる衝動を感じてしまうのでしょう。

そのために、兄にヘルプのメッセージを出し続けるのです。放火という形にして・・・。(本来は遺伝子工学を利用していたメッセージなのですが。)


そして、最後に自分の母が襲われた家に父である渡部篤朗を呼び寄せ、最後の放火を始めます。

【自分もあんたも浄化されなければいけない。】

という意志を見せて、二人で心中しようとするのです。


それを助けるのが兄・泉水というわけです。
(火を助ける水。名前までちゃんと繋がってるんですよね。しかも、泉水と春は英語で両方スプリングなんだそうです。よく出来てる。)



●さて、一番重要なタイトルにもなっている「重力」ですが。

映画のラスト付近で、回想シーンとして家族4人でサーカスを見に行ったシーンが描かれます。


ピエロは落ちそうになりながらも空中ブランコを楽しんで成功させるのです。

子供だった春は、「落ちちゃうよ。」と心配ばっかり。

母はそんな春にこう言います。

「ねえ春、あの顔見て。あんなに楽しそうにしてるんだから、落ちるわけないじゃない。もし落ちても無事に決まってる。」

兄は「どうして?」と尋ねます。

父はこう答えるのです。

「楽しそうに生きれいれば、地球の重力なんて消してしまえるんだよ。」

母は、「私達、そのうち宙に浮くかもね。」


なんて会話が続きます。



重力とはつまり【運命】のことなんですよね。


逆らえないもの。背負うもの。押し付けてくるもの。



だけど、楽しんでいれば決して落ちない。

どんな、複雑な運命を背負っても、当人達が楽しんでさえいれば、決して人として落ちる事はないんだ。



この映画の冒頭と、ラストは、両方とも春が二回から飛び降りる所で終わります。


兄・泉水は

「二階から春が落ちてきた。」

と言います。


春は、軽々と、楽勝な表情で飛び降りるのです。


まるで、「重力を感じさせないように優雅に・・・。」








こういう家族物を描いた時って、良い人しかいない家族って気持ち悪いし嘘臭くなりがちなんですよね。
そういう映画何個も見てきましたから。
現実にはそういう家族も居ますが・・それにはそれなりの理由があるからこそなんだと思うのです。


この映画は、家族が皆仲が良いのです。
でも、そういう運命を背負っていたからこそ、より深く愛情を注ぎ、家族の絆が深まった。
そして、こういう子供達に成長したってことなんですよね。

そこをきっちり魅せれてるのが大きな勝敗を分かつところだったと思うのです。


ラスト、父は癌で死ぬのですが、その前に、春に嘘をついていることを問い詰めます。(放火魔のこと)

春は、何も隠していない。と唇を触ります。


父はその姿を見て笑うのです。


「春はいつも嘘をつくときに唇を触る。俺に似て嘘が下手だなぁ。」と。


昔、父も母に同じ癖を指摘されていたのです。


遺伝子の話であった、養子だったとしても遺伝子が合致する事がある。

という夢のような話を魅せてくる。
多少あざといなぁと思うのもあるんですけどね・・。


他にも、春が「性」や「異性」を拒絶している所など、たくさんのディティールまで上手く複線となっていて、無駄がない脚本になっていました。




演技では、小日向さんの芝居に何度も泣かされます。


「昨日病院に行ってきた。リンパにも転移していて、どうやら施しようがないらしい・・。」



「深刻なことは陽気に伝えるものだよ。」


などの演技がもう凄いのだ。


簡単に重たく伝える。ということが出来てしまっているんです。


つまり、「重力を操る」というテーマと同じなんですよね。


ピアノが印象的なテーマ曲も「重たく、浮遊する印象を与えてくれます。」


映画の隅々まで、まさに「重力ピエロ」というテーマが通されているのです。


こりゃ良い映画だなぁと感じました。

素朴だけど、凄く好き。


一番というわけじゃないけど、かなりオススメですよ☆


ガンジーの言葉

「自分自身が、この世で見たいと思う変化になりなさい。」

劇中に出てくるのですが、凄く心に響きました。


やー、長々書いてしまいました。すみません。
最後まで読んでくださった方、ありがとうです☆

 
  • コメント(全17件)
  • m o m o c a * 
    9/12 03:30


    とだサ
    先生みたいだ
    *・ω・*

    わかりやすい


    見るときは
    この日記を見ながら
    見よう
    ^ω^∩


  • 戸田彬弘 
    9/12 03:42

    momocaさん
    先生じゃないよー。
    長すぎて下手でごめんなさい。
    批評家さんとかライターさんなら、この半分くらいでしっかり書きますよきっと
    しかし、全部読んでくれたの?ありがと
  • れん 
    9/12 03:53

    今すぐ観たくなりました

    借りてこようかな

  • 戸田彬弘 
    9/12 04:05

    れんさ
    今から??
    こんな時間レンタル空いてるのかなぁ?
  • L† 
    9/12 06:38

    重力ピエロ
    本屋でも、うちの周りも
    評判


    でも、うちは
    難しい感じと
    その時のうち自身の感情で

    あまり興味が



    この日記の
    解説(説明)が読みやすく
    興味が


    とても分かりやすい


  • いおリ・D  No.3 
    9/12 08:28



    ぉはょござぃます


    アタシゎとにか
    キャスティングがハマりましたね


    登場人物の誰もが
    ラストに向かって輝き
    強まってぃく感じ…

    言葉の重さや
    家族ってなんで家族なんだろ…
    とか…

    原作みたくミステリー色強めで
    なぃの
    むしろョカッタと思いました




  • ゆーか 
    9/12 08:38

    私も見た〜
    木京香さんが絵でおしりを叩くとこがなんか好きです

  • ネコ(多忙中) 
    9/12 09:36

    おはよございます
    ズウズ... 早速今日仕事が終わったらGEO行ってきます
    たい 見た過ぎる
    画あまり見ないので他にも良いの教えて下さい
    たら長々感想書いちゃうかも(笑)

  • なびぃ☆ 
    9/12 10:39

    観たいです

  • 戸田彬弘 
    9/12 12:59

    Lさん
    コメントありがとうございます!
    分かりやすいですか??
    良かった・・。感想なのに解説みたいになってたらごめんなさい。
  • 戸田彬弘 
    9/12 13:00

    イオリさん
    そうですよね
    キャストがみんな良いのもこの映画の特徴ですね。
    しかし、渡部さんは本作といい、愛のむきだしといい、きわもの扱いになってきましたね。一種の笑いがあります
  • 戸田彬弘 
    9/12 13:00

    ゆーかさん
    見ました?いいですよね!
    お尻で絵を叩くところは確かに笑えます
  • 戸田彬弘 
    9/12 13:00

    ネコモンバトさん
    御仕事お疲れ様です
    さっそく見るのですか??
    是非見てください笑
  • 戸田彬弘 
    9/12 13:01

    なびぃさん
    時間ができたら良かったら観てみて??
  • Pチャン…ありがとう♪お元気で-^)/~ 
    9/12 19:04

    なんとなく気になってたんですが、タイミング合わずに映画観てないんです。でも文章読んで観たくなりまし
    原作も読んでみたいです。主題歌は北九州出身アーチストという事で、福岡のFMではその頃よくかかってました。自分は活字中毒なんで(笑)長さは気になりません。だから長さは全然感じなかったですよ。一気に読めました。また映画について話してください。楽しみにしてま

  • 戸田彬弘 
    9/12 21:05

    ぴいちゃんさ
    活字中毒??そうなんですか?読むのが好きなのは凄くいいですよね!
    また書かせてもらいますね
  • セツ 
    9/19 09:09

    私も重力ピエロ すごく好きで友達にめっちゃすすめてます!!
    なんか、個人的に色々考えさせられた。

    自分は、映画から知ったくちですが、小説も良かったし、また見たい!!って、思える内容でした。

    「また、二人で遊んできたのか」
    小日向さんのこのセリフが好きです!!
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