暗闇体験で何を感じるか

私は子どものときからまったくの闇の世界を、何度も体験しているが、いまの人たちには、暗闇体験が貴重らしい。大川興業の大川豊の登録商標である、「暗闇演劇」が人気だという。

俳優はまっ暗闇の中で、見えないまま演技するわけだが、観客は声と息づかいだけ聴くことになる。しかしそれが迫真性をもって迫ってくるという。物語は地下の廃墟をさまよい、悩みを解決する若者の話だ。

観客が気持ち悪くなれば、暗視ゴーグルをもったスタッフが、すぐ駆けつける手筈になっているし、入場者には途中でも出られるように、ペンライトを渡すのだという。

たしかに、あまり長い時間、じっと暗闇の中に座っていたら、恐怖感をもつ人もいるだろう。長野県、善光寺の暗闇の戒壇巡りなら、自分の足で歩いて、光のあるこの世に戻ってくることができるが、座りつづけはきついかもしれない。

もともと暗闇に行くのは、どんな意味があるのか? これは擬死、再生の体験ともいわれるし、母の子宮の中に戻るという疑似体験でもある。

この暗闇演劇は、再び明るい現世に戻る(あるいは生まれる)喜びを味わう芝居、といっていいかもしれない。また、ふだん私たちが使っていない、耳や鼻、あるいは感触などの感覚器官を総動員することになるので、発想力も豊かになるという。

昔の人は、暗闇の中で生活することが多かったので、目を含めて、感覚が鋭かったらしいが、私たちにもこれはいい経験になる。

その前に、自分の部屋で暗闇の時間を30分くらい、体験してみてはどうか? 人間性がいい方向に振れるのではないか?