「心ふるえた言葉」

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 メディアで伝えられている通り、「海峡を渡るバイオリン」のモデル、陳昌鉉氏が亡くなった。世界的に名を馳せたバイオリン製作者である。私は聞き書きした立場なので、この本には深い思い入れがあり、今回の訃報は、とても悲しい。
 この作品は幸運な道を歩んだ。小説から、フジテレビのドラマになり、ラジオ小説になり、海外で翻訳され、マンガになり、英語の教科書にもなった。
 昨日、陳昌鉉氏の娘さんと電話でお話しした。その時にこう言われた。
「父の肉体はこの世からなくなっても、父の魂は本のなかに生き続けています」
 これ以上の言葉はない。私は、あらためてこの仕事をしてよかったなと思った。魂を永遠に生きながらえさせる仕事をしたのだ。遺族の方たちに喜んでもらえた。
 帰りの電車の中でその言葉を何度も反芻し、とても満足な気分になりながら帰った