ダルくん


ども、驚いてバクバクしている岡田達也です。



昨日、楽屋で野球の話になった。
音響の早川さんが言った。
「今年のパ・リーグはホークスとファイターズが強すぎるね」
「ありがとうございます」
「もう、どっちかで決まりだろう」
「多分そうでしょう」
「ピッチャーの層の厚さでホークスかな?」
「だと思うんですけど。……ただ、できれば、ダルビッシュを叩いておきたいんですよね」
「負けっ放し?」
「いえ、一つ取ったんですけど、せめてもう一つは勝っておかないと」
「今の彼を打つのは難しいだろ」
「ええ、まあ。だからこそ、なんですけどね」
今、ダルビッシュ投手が
間違いなく日本で一番素晴らしいピッチャーだろう。
申し訳ないが甲子園を湧かしているときですら
こんなに活躍するとは思ってなかった。
プロでは勝てない、と思っていた。
佐藤ピッチングコーチの元
彼はパワーピッチャーに変身した。
そこからの活躍は周知の通りである。

ピッチング練習を終えた彼がブルペンから出てきた。
彼は僕を見つけると声を掛けてきた。
「達也くんは今からどこへ行くの?」
「え?渋谷に向かうつもりだけど」
(なんでダルビッシュが僕に話しかけてくるんだ?)
「そうか。じゃあ井の頭線で移動だね?」
「うん、そうしようかと」
(なんでファイターズの練習場が吉祥寺にあるんだ?札幌じゃないのか?)
「一緒に行ってもいい?ちょうど渋谷に用事があったんだ」
「別に構わないけど」
(いつ知り合いになったんだろう?)
僕たちは駅のホームに向かった。
「キャー!ダルビッシュよ!」
浴衣を着た若い女性たちの黄色い歓声があがる。
それでも彼は照れることなく普通に応対している。
いやはやスターだ。
実にカッコイイ。
僕はこっそり耳打ちした。
「やっぱりユニフォームだと目立つね」
(なんで着替えてこなかったんだ?)
「うん。だから渋谷に洋服を買いに行こうと思って」
「ああ、そういうことか」
(にしても周囲の人はみんなこっちを見てるな)
「達也くんはどこの服を着てるの?」
「リーバイスとかG-starとかが多いかな」
(なんでそんなトコに食いつくんだ?)
「じゃあ僕もそこの洋服買おう。見立ててくれる?」
「お、おう。別にいいけど……」

バクバクしていた。
確実に僕の心臓は
恋をした乙女のように
(この比喩が正しいのかどうか甚だ疑問だが)
高鳴っていた。

彼を打たなくてはならない。
その、素晴らしい技術を認めているからこそだろうか?
明らかに僕の夢に登場した彼はスターの輝きを放っていた。
ただ、その彼に話しかけられるという
非常に、僕だけに、都合の良い、
夢独特のストーリー展開をさせてしまった。
恐るべき僕の深層心理である。

今も顔がにやけている。
こんな調子では次に対戦したとき彼を打つことができないのではないか?
きっとそうだ。
ここはきっちり気を引き締めて
次に彼が夢の中に登場したときは
何かしらのことで説教ぐらいしておこうと思う。




では、また。