タツヤ・アプローチ



ども、凡人の岡田達也です。





僕は残念ながらロバート・デ・ニーロではない。



うん、とても残念だ。



彼は

「デニーロ・アプローチ」

と呼ばれる演技法を持っており

役柄によってはマッチョになり

その次の役では20kgも太り身体を弛ませ

またある役では頭髪を抜き、と

心だけではなく身体もその役柄に近づけていく。

まさにその演技法は

全世界の俳優を虜にしており

マネする人も多いと聞く。



次回公演『水平線の歩き方』で僕が演じるのはラガーマンだ。

ラグビー選手である。

日本人選手では

松尾雄治、平尾誠二、大八木淳史の

3人くらいしかパッと名前が浮かばないほどラグビーには疎い。

猛勉強しなくては、と思っている。

(初演の時はどうしてたんだ?)

たまにテレビに映るラガーマン達は

みんなガッチリとしている。

その鍛え上げられた筋肉は

「日常の努力の賜物」なんて言葉では安っぽく感じるほど

ストイックに自分をいじめ抜いて完成されたものに違いない。

かくいう僕も

「日常の飲酒の賜物」なんて言葉では追いつかないほど

ストイックに胃袋をいじめ抜いて完成させた横っ腹を持っている。

身長も

さすがにデカイ選手が多いが

選手名鑑をめくると170cm代の選手も多々いる。

僕は175cm。

まあ悪くない。

ここまでは良い勝負だ。

(何がだ?)



先日「タツヤ・アプローチ」を実践するべく

慶応大学のラグビー部の見学に行った。

彼らの練習を目に焼き付け

来週から始まる稽古でそれを実践してやる。

フフフ。

本番を迎える頃には

日本を代表するようなラガーマンが誕生しているはずだ。

ひょっとすると

オールブラックス(ニュージーランド代表チームの愛称)あたりからお誘いが来るかもしれない。

そのときは速やかに断ろう。

まだまだ演劇界でやらなければならない仕事がある。

グランドに着くまで

僕の妄想は青山千洋(キャラメルボックスOG・強めの妄想癖有り)を超えて

明るすぎる未来を映し出していた。



ストレッチをすませ

次にアップ(軽く筋肉に血を巡らせる運動)を始めたのだが

それを見た僕は開いた口が塞がらなかった。

「……あ、あきゃん。

あんなの人のやる事じゃない」

そこで行われていたトレーニングは

僕の想像を超えており

おそらくは僕が参加しても10分と持たないだろう

という手応えだけが残った。



さて困った。

稽古は明日から始まる。



僕は今

成井さんに電話して

「今回はラガーマンではなくミュージシャンという設定はどうですか?」

と提案するべきかどうか迷っている。





では、また。





追伸



ついでに言っておくけど。

この物語

万が一ラガーマンの身体が出来上がっていなくても

間違いなく面白い作品だ。

それは断言できる。

「観なくちゃ損!」なんて言葉では追いつかない。

絶対に劇場で。