薬草蒸し風呂



ども、勘違いした岡田達也です。







「薬草蒸し風呂」

まあ、早い話がミストサウナである。



近江谷太朗先輩は連日の舞台で喉を酷使している。

ずいぶん疲労が溜まっているようだ。

「達也、東京一のミストサウナに行こう!」

指令が下った。

僕は舞台に立ってはいないので喉も元気だが

根っからの大浴場好きである。

断る理由は無い。



初めて足を踏み入れたそのスパは大混雑だった。

ロビーにも人が溢れ

脱衣所にも人が溢れ

もちろん浴槽にも芋を洗うように人が転がって(?)いる。

サウナに至っては裸の男たちのひな祭り状態で

入った瞬間、ちょっと笑ってしまった。



で、当然のごとく蒸し風呂もすごかった。

ちょっとみなさんの想像力をフルに活用していただきたいのだが……。

この蒸し風呂

蒸気がすごくて前が見えない。

どれくらい見えないかというと50cm離れればもう誰か分からない。

1m離れればうっすらと足が見える程度で

(蒸気は上に上に溜まるから)

どこに人がいるかも分からないほどスゴイ状態になっている。

10人分の椅子が用意してあるのだが

人が座っているのかどうかも

間近に行って確かめなければ分からない。



頑張って確認した。

残念ながら椅子は埋まっている。

僕は立ったまま椅子が空くのを待つことにした。

すると、2分ほどしたところで

白髪のおじいさんらしき人物が(それほど見えない)

出口にむかってきた。

僕は出口の前に立っていたので

道を空けようと体をずらした。

すると……。

そのおじいさん、僕の右手をおもむろに掴んだ。

あら?

おじいさん、いきなり僕の手を掴んで、どうしたんだろう?



あ!

そうか!

椅子が空きましたよ、ということを教えてくれたに違いない!

なんて親切なおじいさんなんだろう!

僕はお礼の言葉を掛けようとした。



次の瞬間。



おじいさんが僕の右手を向こう側に

(つまり僕の背中の方に)

スーッと押した。



……。

……。

ありゃ?

もしかして。

おじいさん、僕の右手を入り口の取っ手と間違えてる……。



僕はソーッとおじいさんの右手を引いてあげて出口に案内してあげた。



恐るべし、薬草蒸し風呂。

前が見えないほどの蒸気。

人の人間がドアの取っ手に見えるほどの白さ。

今週の近江谷太朗先輩の喉はツヤツヤですぜ。







では、また。