隣の客は……ども、?マークいっぱいの岡田達也です。 立ち飲み屋で飲んでいた。 一人静かに飲んでいた。 片手にはビール 片手には単行本。 端から見れば 「おっ! 一杯やりながら、文学に触れている若者か。 やるな」 と注目を浴びていても、おかしくはない。 (その妄想がすでにおかしいだろ) この場合、太宰治あたりが一番好ましいのだろうけど 残念ながら僕が読んでいたのは土屋賢二さんの爆笑エッセイだった。 いや、僕の飲み方のスタイルはどうでも良い。 隣で男女のペアが飲んでいた。 カップルにも見えるし 会社の同僚にも見える。 年齢は僕とさほど変わらないだろうか。 二人は陽気に飲んでいた。 高らかに話をしていた。 かといって別に迷惑になるような音量ではない。 僕も読書に集中したかったので会話を聞きたかったわけではない。 でも、どうしても耳に入ってくる。 普通の会話だった。 そのように聞こえた。 ところが。 彼女が喫煙のためお店を出て (ここはタバコが吸いたい場合は外に行かなければならない) ちょっと太めの彼が残って店員さんと話を始めたとき。 僕の読書はピタリと止まった。 「ちょっと〜、聞いてよ〜。 ○○が××でいやんなっちゃうわよ」 あれ? んんん? この人、オネエ言葉だ……。 でも、待って。 さっきまでの会話は普通だったんじゃなかったっけ? それとも僕が聞き逃してただけ? いや、まあ、そんなに固執することでもないけど……。 でも、ちょっと気になるな。 申し訳ないと思いつつ聞き耳を立てる。 「○○ってゆうじゃな〜い」 ありゃ。 やっぱり全てオネエ言葉だ。 彼女が一服を終え戻ってきた。 「外で吸うのは寒いよな!」 あれ? およよ? この人、200%男言葉だ……。 ってことは何? さっきの店員さんとの会話は何なの? ええーっっっっ!!! どういうことっ!!! ちょっと説明して欲しいんですけど! ああ。 もう土屋先生の言葉は何も頭に入ってこない。 でも、こんなこと、何も、誰にも訊けない。 飲み屋ならではの面白さに 飽くなき探求心がうずき この謎を解こうかと一瞬迷ったが (長居して様子を見ようと思ったってこと) そんなことしたら飲み食い代が嵩張ってしょうがない。 僕はモヤモヤしたままお会計を済ませた。 人材の宝庫だな、立ち飲み屋。 では、また。 |
凄い気
いゃあ
気にな
そして
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