リード犬



ども、飛び込んでみた岡田達也です。







ウチの近所でおじさんと散歩している黒い小さな柴犬をよく見かける。



その黒柴は赤くて短いリードに繋がれており

何が可愛いって

散歩の最中にずーっとそのリードを囓っているのだ。

リードが美味しいのか

散歩が愉しいのか

はたまた、かみ癖があるだけなのか分からないが

いつ見てもリードを囓っている。

だから僕はその小さな黒柴を「リード犬」と心の中で呼んでいた。



そしてその飼い主さん

ウチの近所の公園にいつも来ている。

いや、来ているのではなく集っている。

毎日、毎日、

男性3〜4人(推定年齢55〜65歳)が

公演のベンチに座って

近所のローソンで購入したであろうレモンチューハイを酌み交わしている。

それが朝の9時くらいから午前中いっぱいまで、だ。

朝の9時から飲酒。

僕も大概早い時間から飲み始めるが

この人たちには手も足も出ない。

一体、この人たちは何物なんだろう?

と、僕の疑問は日に日に膨らんでいった。



昨日の朝。

新聞を買いに公園を横切ると3人のおじさんとリード犬がいた。

おじさんたちは相変わらずチューハイで陽気になっていた。

リード犬はお座りしていた。

そのリード犬と目があったような気がした。

あまりにも可愛かった。

僕は、やめておけばいいのに、フラッと近寄ってしまった。

勇気を持って声を掛けた。



「可愛いですね」

「でしょ?可愛いでしょ?」

「男の子ですか?女の子ですか?」

「女の子。7ヶ月」

「じゃあ、まだ子供なんですね。お名前は?」

「ミホ」

「(随分人っぽい名前だな……)」

「犬好きなんですか?」

「はい。だけどアパートだから飼っちゃいけなくて」

「ウチもそうだけどこうやって飼ってるよ!(爆笑)」

「……」

「良かったら散歩させてみます?」

「え?良いんですか?」

「どうぞ、どうぞ」



僕は赤いリードを受け取り公園の中を歩いた。

ミホちゃんはずーっとリードを囓っている。

それを見ているおじさんたちは笑いっぱなしだ。

オマケに吐いてる言葉が秀逸でこっちが笑いそうになった。



「ほーらほら、一生懸命囓ってる」

「きっと自由になりたいんだよな」

「あれさえ噛み切れば自由は目の前だ(爆笑)」



3分ほどの散歩を終えて僕はリードを返した。



「良かったら、また散歩させてやってください」

「良いんですか?」

「ええ。毎日ここにいますから」



さあ。

もう少し、もう少し、慣れたら勇気を持って訊いてみよう。

「ところで、あなた方は何をされている人たちなのですか?」







では、また。







追伸



さっそく今日も遊ぼうと思ってったのに雨。

残念。

いつの日か後日談ができれば。