木曜日『なっちん Write a play 』

  • 夏秋佳代子 公式ブログ/木曜日『なっちん Write a play   』 画像1
鉛のように重くなった身体を、窓から射す温かな光に押し上げられるように起こした


誰が言った言葉なのだろう…。


誰が刻んだ言葉なのだろう…。


そんな事を思いながら、そっともう一度そっとその言葉に触れた。


ピリピリ…。痛い。


ほんのちょっとだけ、何となくずる休みしたくなって、


目の前に映った各駅停車に乗り込んだのだった。


放り出された終点。


(ここ…どこ?…)


バラック小屋のような駅に、やっとの思いでぶら下がっている錆びた看板。


(………福駅)


剥がれない錆で隠されたままの駅名。


とりあえずただ目の前にある細い一本道を歩いてみた。


どれくらい歩いたのだろうか。くたくたになった足がもう上がらない…。


気がつくと私はここにいた。


そして、今、誰かが刻んでいった言葉に、私の心はザワザワと揺れ動いている。


トントントン。



トントントン。


『はい』


『ご飯食べませんか?』


『あ、はい。今、行きます。』


『お待ちしております。』

朝ご飯。そっか。今は朝なんだ。


(あさ…。あ!会社!)


慌てて時計をみた。8時23分。いつもならぎゅうぎゅうに押し込まれた丸ノ内線で、


息を殺しながら、その沈黙に耐えている時間だ。


チクチクチク。痛い。


掴みかけた携帯電話をそっとベットに置き、


サイドテーブルの上にきちんとたたまれて置かれていたブランケットを羽織り、


部屋を出た。