ミステリー小説ベストワン作品は・・

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<心理試験(江戸川乱歩 作)>。

〜その理由〜

推理小説で最初から犯行や犯人が明らかにされているものを「倒叙ミステリー」と呼ぶが、日本での元祖と言われているのが江戸川乱歩の「心理試験」という短編だ。

小説としては登場人物こそ決して多くなく、ストーリー自体もオーソドックスで地味ながら、老婆殺しの容疑者となる苦学生二人の対照的な性格や、終盤近くにおなじみの名探偵明智小五郎が、真犯人の動きを封じるために仕掛けるトリックと着眼点など、読者をぐいぐいと引き込む見どころも豊富に散りばめられている。

大正14年に書かれた作品ということで、殺人事件の裏に描かれている時代背景なども興味深い。

ドストエフスキーの「罪と罰」をベースにしていると言われるだけに、己の才能と自己中心的な思想で身の破滅を招く犯人の末路には、人間の持つ冷酷な一面や一種の悲哀さえも感じられ、これ以降に続々と発表される乱歩小説独特の作風や、方向性を決定づけた傑作と言って良いのではないだろうか。