今日の一曲:レイラ

  • 永井健二 公式ブログ/今日の一曲:レイラ 画像1
「令和」が発表された日に、頭に浮かんだのがこの曲「レイラ」。香坂みゆき、19才の時のシングルです。

http://nico.ms/sm12655073?ref=shar...

彼女は歌手デビューが14才だったので、この時すでに13枚目のシングル。曲調としては「ロッカバラード」でしょうか。当時のアイドルにしてはハードなサウンドにのせた、レイラという友人を歌っているのですが……
そう。詞のテーマがあまりに斬新なのです。「雨の夜のなか海へ投身自殺した友人」を歌っています。
「♪かもめになって〜空を飛んだ〜」みたいな。「♪荒れる埠頭から〜身を躍らせた〜馬鹿よ〜あんた〜馬鹿よ〜」みたいな。作詞作曲は伊藤薫。
めっちゃ聞き応えのある歌なんですけど、聞いてて楽しくなる曲ではないし、当時としてはかなり異質な曲だったのかも。売れませんでした。

サビのパンチのある歌いっぷりもさすがですが、Aメロの少し語りかけるような柔らかい歌いかたも秀逸。香坂みゆき、歌声自在に使い分け、基本的に歌はうまいです。
もう10年あとなら、ヒットしたかもしれません。浜田麻里とか歌ってそうな感じの曲なんで。

サンミュージック所属でアイドル性も抜群で歌唱力もあったのに、何で売れなかったのか。売り方と楽曲の問題だったんだと思う。デビューから数年の楽曲は、いま聴くとちょっと70年代感が強すぎなんですよね。
まあ、このあと、1984年に「ニュアンスしましょ」が資生堂のCMソングに起用され、日の目を見るんですけど、ちなみに、この「アイドル性がありながら歌手としては泣かず飛ばずでCMソングで挽回」パターン、高見知佳も全くおんなじ展開。両者とも逸材だっただけに、いまいち歌手として大成できなかったのが惜しまれます。

今日の一曲:殺意のバカンス

  • 永井健二 公式ブログ/今日の一曲:殺意のバカンス 画像1
本田美奈子のデビュー曲。
オーディション番組「スター誕生」で決戦大会まで進むもデビューには至らず、その後、スカウトでのデビュー。
そのデビューに際しては、本人は演歌歌手を志望していたということもあって、いわゆるアイドルっぽいことは嫌いだったよう。(ならば、なぜ「スター誕生」で、「ハロー・グッバイ」やら、聖子の「ブルーエンジェル」を歌ったのか疑問は残る)
そのため、最初にデビュー曲として用意されていた「好きと言いなさい」はセカンドシングルに回し、本人の意向で、より歌唱力を必要とされる、アイドルらしくないこの楽曲がデビュー曲となったそう。
歌声から気合いが感じられます。気迫が強すぎて少し圧迫感も。「のど、枯らしそう……」と心配したくなる、そんな楽曲でもある。

売野雅勇作詞、筒美京平作曲。
売野先生お得意の「ルビがないと読めない歌詞」健在。(追放れて→おわれて、など
筒美先生、これでもかとばかりに難易度の高いメロディーをあてがう。筒美京平の挑戦状としか思えない楽曲(笑) もうね、聞くだけで難しい歌だって分かるけど、歌ってみるともっとよく分かる。
特にAメロ、メロディーに対して言葉数が多く、なんだか口がせわしないのだ。
また、歌い出しのサビ「♪だきしめーてー」は、かなりの声量と音程の安定感が必要とされる。この部分、アイドルにありがちな、普通の声量で平板な歌唱だと、それだけで、とてつもなくつまらない楽曲になるだろう。

楽曲の世界観は、ゴージャスな大人の恋の駆け引き、といった感じで、当然ながら10代のアイドル歌手がデビューで歌う世界観ではない。普通、初恋とか、恋愛感情の芽ばえとか、片思いとかじゃん。
そもそも、「殺意」という言葉もアイドルらしくないし。こんなタイトルのアイドル、ほかに渡辺典子くらいしか知らない(「晴れ、ときどき殺人(キル・ミー)」)。まあ典子の場合は、いわゆるアイドル、ではなく、「角川三人娘」の不遇の子、という印象だが……

https://youtu.be/639j04a3Hc8

映像は、デビュー間もない頃に収録されたと思われるもの。この曲は映像の後半で、前半に歌っているのはB面の曲。こちらはこちらで素晴らしい。
しかし、生歌で、振り付けもやりながらここまで歌えるのは、さすが。その後の歌手生活も分かるというもの。
「♪拾ってね ごらんよ」のささやかな振り付けが、歌唱と少しギャップがあってかわいい。

これで売れていれば、アイドル界のその後の流れが変わった可能性もあるし、美奈子本人も「やれマドンナだ」「やれロックだ」と迷走せずに済んだ可能性も高い。惜しい。そこまでのヒットには至らず。

今日の一曲:あの場所から

  • 永井健二 公式ブログ/今日の一曲:あの場所から 画像1
柏原芳恵がカバーしたシングルバージョンで、この曲を知った世代ですが、こちら「Kとブルンネン」がオリジナル。1970年発表。作詞は山上路夫、作編曲は筒美京平。
72年に南沙織がアルバムでカバー、73年に朝倉理恵のデビュー曲としてカバー、82年に柏原芳恵の10枚目シングルとしてカバー、という流れ。

https://youtu.be/baKCWJY5a6s

芳恵ちゃんバージョンでは、アレンジも現代的になり、無邪気に歌っているからか、「元彼との楽しかった日々を思い出し、少し感傷的になった歌」みたいな印象で、そこまで名曲なイメージではなかったけど、オリジナルはかなり退廃的な印象が強く、俄然、名曲度は高い。(朝倉理恵バージョンは未聴)
オリジナルは、「楽しかった日々を回想しながら、心中しようとする恋人たち」みたいな印象。ちょっと言い過ぎだけど。でもまあそんな雰囲気はプンプンする。男女ふたりで歌っているから余計にそう感じる、というのもあろうが。

「Kとブルンネン」、おそらくは「ヒデとロザンナ」を意識したであろう、日本人男性とアメリカ人女性の組み合わせ(らしい)。
「名前と名前」というコンビ名も、どちらも同じと言えば同じだけど、「Kとブルンネン」だと、やけにポエジーなコンビ名。おフランスな感じも。まあアメリカ人だけど。
ブルンネンは、声量や声の質感がロザンナに似てなくもないので、なおのこと「ヒデとロザンナ」感がするというか、かなり寄せてきてる感じがある。間奏で「アモーレ!」とか言いそうなほどに。

余談だが、ブルンネンは本名らしいのだが、Kは別にイニシャルではないらしい。
……っえー!? いやいやいや、そのKはどこから来たのさ? Kじゃないのに「Kのほうです」とか言ってたんだろうか。余計な心配しちゃう。

だからというわけでもなかろうが、男性の歌唱も若干カタコト感。なぜだ? 母音の扱いがちょっと特徴的な歌い方で、それが理由かも。喋りなれてない言語の感じが、Kの歌声からも感じられ、「ふたりとも異国人かい?」と一瞬、思ってしまう。

ふたりとも現在、歌手活動はしていないようでネット上でも消息が分かっていない。まあ、おそらくブルンネンさんは帰国してるんじゃないかと思うのだが、Kのほうは存命なら日本のどこかにいるような気が。
と言いつつ、そもそも現在おいくつなのかも不明だが、1969年のデビュー当時は、K23歳、ブルンネン19歳という情報があり、存命の場合、Kは73歳……

せっかくなので、「Kとロザンナ」という奇跡のジョイントを期待したいが……まあ、無理だろうなぁ。
そして改めて、「ヒデとロザンナ」という存在の、歌謡界での大きさに気づくのであった……

今日の一曲:ガール・フレンド

  • 永井健二 公式ブログ/今日の一曲:ガール・フレンド 画像1
こちらも最近になって初めて聞いた楽曲。3枚目のシングル「スワンの涙」のヒットが有名なオックスのデビュー曲。作詞は橋本淳、作編曲は筒美京平。当時の歌唱動画が残っていて貴重。

https://youtu.be/w8IaywfjWWE

「オックス」という存在自体、あまり知らなかったのだけど、メンバーに「オルガン」担当がいるんだね。今で言えば「キーボード」「ピアノ」みたいなもんか。
オルガンの赤松愛が、当初は一番人気だったとか。だからこの映像、彼のアップから始まってるのかも。右手で弾いて、左手で音量の調節をしているらしい。アナログな小室みたい。それにしても、当時にしては性別不明な感じが強い。登場するには時代が相当早すぎた気がする。
ボーカルは野口ヒデト。のちの真木ひでと(「夢よもういちど」の)。ぱっと見、Kis-My-Ft2の藤ヶ谷に似ている。この変声期っぽくもあるハスキーな歌声は、好きな人にはたまらないだろう。彼は、変声期はとっくに過ぎてると思うけど。筒美先生、たぶん好きなテイストの歌声だと思う。郷ひろみに通じるものがある。

歌い出しの「♪ぼくの〜かわいい〜ともだちは〜」に続く、合いの手的な「♪まぁいがぁーる、まぁーいがぁーる」。ここ、めっちゃいい(笑) このパートを歌うのは、ギターの岡田志郎。
合いの手自体もいいのだが、このフレーズの時に、歌っていないメンバーが岡田の方に一回、身体を向ける動きが、ぎこちなさと愛らしさでハマる。からくり人形みたいだな。
しかもそのあとには、意味もなく踏み出すステップ。全然意図が読み取れないけど、とりあえず真似はしたくなる。
「え!?GSってこういう感じなの?」と、俄然興味が湧く。あんまり詳しく知らないけど、タイガースとかテンプターズとか、もうちょっとテイスト違うイメージだけど
レコードジャケットは、どこかの公園で撮影されたような、西洋王子様風な揃いの衣裳。ここからもどことなく、Kis-My-Ft2感が漂う。

現代からしてみればGSサウンドって、アイドル歌謡とムード歌謡の中間のような曲が多く、ロックテイストのものはそれほど多くない印象。当時はまだ「アイドル」概念が無い時代だから、ロックと称するしかなかったのかも。
ただ、ライブではもっとハードな感じだったようで、オックスの場合は「失神バンド」としても有名。一連のシングルではその片鱗はほとんど見られないけど。
でも、この曲もそうだけど、これを「不良の音楽」と称していたのが、今にして思えば何とも不思議。この時代の人がヴィジュアル系バンドなんか見た日には、卒倒するんだろうな。これも「時代」なんですかねぇ。
GSも、そのグループの系譜や、その後の活動の変化をひもといてみると面白そうだ。オックスも、改めて聞き直してみると、ほかにも面白い楽曲がたくさんある。

今日の一曲:風のしのび逢い

  • 永井健二 公式ブログ/今日の一曲:風のしのび逢い 画像1
欧陽菲菲、1975年の楽曲。レコード歌唱より動画での歌唱にご注目いただきたい。

https://youtu.be/tiLB_6PcUmE

確かにしっとり系の曲ではないが、失恋の歌だし、普通はそこまで振り付けて歌うタイプの曲ではない。
しかしそこは菲菲、曲を聞いただけではイメージしないような振り付けを、イントロや曲間でアグレッシブに披露。これ、本人の振り付けだとしたら相当に冴えている。しかもエンディングの振り付けに至っては、何なんだ(笑) 素晴らしすぎる。
演奏も、レコードよりブラスが前面に出ていて、サビのたたみかけもこちらのアレンジの方がカッコいい。
作編曲は筒美先生かと思いきや、穂口雄右。譜面上よりも菲菲の歌唱が跳ねている感じがするのは、日本語の発音のせいか。

しかし、デビューから5年くらい経っても、日本語の発音、あまり変わらないのが不思議というか、面白いというか。この点、アグネスもおんなじ。ジュディ・オングやテレサ・テンは流暢なのに。何の違いなの?

そして、漠然とは理解できるのだが、よくよく読んでもいまいち歌の内容がしっくり来ない、不思議な歌詞(作詞は林春生)。 菲菲のカタコト感には合っている。