「消費の20代と、投資の20代」

  • 木下博勝 公式ブログ/「消費の20代と、投資の20代」 画像1
  • 木下博勝 公式ブログ/「消費の20代と、投資の20代」 画像2
今朝も、愛読書、致知から紹介させていただきます。



僕も、外科医になって数年目に同じような思いをしていたことがありました。



同期と会うと話題は自分の執刀した症例に自然になりまして、、胃がんの手術を執刀したとか、大腸がんを何例も執刀したとか、僕はヘルニアと胆摘しか経験がありませんでした。将来外科医として大丈夫だろうかと悩んだりもしました。言葉には出しませんでしたが、態度には出ていたかもしれません。現場でも、先輩から、理不尽に怒られるし、からかわれるし、医学的な事以外でも注意される事が多かった時代です。

 

 その病院で約1年間お世話になった、20年先輩にあたる先生から、 一緒に卒業旅行に行こうと誘われて、サイパンに行きました。

 そこで先輩から、木下には、医学的には大したことは教えてやれなかったと思うけど、君が今後外科医として生きていくうえで困らないように、もっと大事な事を教えてあげたつもりだ、と言われました。



 その時は、意味がよく分かりませんでしたが、それから数年後にはいくつかの病院に勤務しましたが、先輩方からとても大事にしていただけるし、他の誰よりもチャンスに恵まれたと思います。あの20年先輩の先生から、しつこく何度も現場で注意されていたことが、自然と出来るようになっていました。



 いつかその20年先輩に、直接会ってお礼を言おうと考えていました。羽田空港からの帰りにタクシーに乗っていたある日、その先輩の死亡を知らせる電話を頂きました。生まれて初めて、電話を聞きながら泣いてしまったのを、今でも覚えています。           
       
           横田尚哉(ファンクショナル・アプローチ代表)
        
        
       『致知』2011年8月号
         連載「20代をどう生きるか」より


 就職活動で苦労して会社に入ったものの、
 理想と現実のギャップにぶち当たり、
 外れくじを引いたように感じている人も多いかもしれません。
 
 しかし本来仕事には、当たりも外れもありません。
 当時はつまらなくて仕方がないと思っていたはずの仕事が、
 後にその人の大きなベースとなるようなことが
 往々にしてあるのです。


 私が入社して四年半が経ち、二十七歳になった時のこと。
 広島に技術部門が新設され、私は大阪本社から転勤を命じられました。

 その広島の勤務地に、新卒で入社してきた
 後輩のエンジニアがいました。
 他の同期は東京や大阪本社に配属され、
 彼一人だけがぽつんと広島にいる。
 周りの先輩とは年が離れていて普段話せる人もいない。
 
 季節は夏を迎えていましたが、
 彼は毎日つまらなさそうな顔をして
 図面と向き合っていました。

 私はそんな彼に「いま何の仕事をしてる?」と
 声を掛けました。
 
 すると彼は
 
 「横田さん、私もう、ずっとこんな雑務ですよ。
  同期は東京で打ち合わせに参加したとか、
  自分の資料がプレゼンに使われたとか、
  楽しそうに話してる。
 
  自分はアルバイトにでもできるような
  雑務ばっかりさせられて……。
  もっと技術屋的な仕事がしたいです」
 
 
 と言って不貞腐れていました。
 
 私は「あぁ、そうか」と返事をして、もう一度、
 「おまえがいまやっているのはどういう仕事なの。
  その図面の縮尺は何分の一?」と聞きました。
  
 すると彼は「えっ、ちょっと待ってくださいよ」と言って、
 端っこに書いてある縮尺の数値を読もうとした。


「おまえ、数字を見ないと分からないのか。
 半年間もずっとその図面の作業をしてきて、
 いまだにそれを見ないと分からないのか。
 半年間勿体ないことしてるよなぁ。

 一つの図面を散々見続ける経験なんて滅多にできんことやで。
 どんな図面がきても、これは何分の一の縮尺だと
 パッと見て言える。それが技術屋の仕事というもんや。
 
 おまえは朝から晩までそれだけをしていて、
 なんで覚えられんのや」


 私の言葉を聞いて、彼は初めてハッとした表情を浮かべ、
 
 
 「自分はこの半年間、雑務としか思いませんでした」
 
 
 と言いました。


 「おまえの先輩が雑務としてこの仕事を与えたか、
  経験として与えたかは分からない。
  いずれにせよ、おまえはそれを経験にはしなかった。
  
  この半年間ただ“消費”をしただけで、
 “投資”にはなっていない。

  図面を見ただけで、縮尺も何も瞬時にして分かる。
  その技術は教科書にも書いていなければ、
  学校の先生も教えてくれない。
  
  これは経験でしか得られないものなんや。
  おまえはその経験の場を与えられてる。
  おまえはすごく恵まれてる。
  
  同期の人間なんかより、おまえのほうがずっと恵まれてる。
  それをおまえは分かってないだけや」


 彼はこのことがあってから、目の色を変え、
 嬉々として自分の仕事に励むようになりました。


 二十代は夢や理想が人一倍強いため、
 会社や上司に文句を言いたくなることも多いかもしれない。
 
 でもそれは自分の知っている、
 ごく狭い世界の話であることが多いのです。
 
 広島にいた彼は、いま自分が置かれている環境で
 できることは何だろう、ここにいる特権とは何だろうと
 考えたこともなく、無益な日々を送っていた。
 
 しかしここから何を学んでいこうかという気持ちや、
 何かを得てやろうという思いさえあれば、
 誰もが充実した日々を過ごせるはずなのです。

 
  • コメント(全15件)
  • さゆ[桜[塾] 
    10/19 11:31

    納得。
  • かすん(仲間&友達&飴も種も感謝(*^^*) 
    10/19 11:42

    今は就活が上手くいかずに亡くなる方が多いとテレビで観てビックリしました。
    挫折を今味わい今に圧迫されてどう生活したら良いかを分からずに亡くなるらしく悲しかったです。
    働き方以前の問題らしいですね。
    何事も身をいれてないとただ流されているだけの時間ですね
    確かに何事も経験だと思い楽しみながら生きたいのも分かりますが全てを楽しめるかと云うとナカナカ難しいかもしれないですね。
  • ミニーちゃん 
    10/19 12:05

    若い頃苦労なさったんですね。勉強になりました。私も七転び八起きで頑張ります。(#^.^#)
  • ☆SHIZUKA☆ 
    10/19 12:22


    「しかしここから何を学んでいこうかという気持ちや
    何かを得てやろうという思いさえあれば

    誰もが充実した日々を過ごせるはずなのです。


    はいっ!(T^T)


  • オカメ姫(● ̄∀ ̄) 
    10/19 12:38



    数年前にも
    同じ内容見たような気がします…

    感慨深い内容だから
    覚えていたのかも。


  • DARLING☆LOVE【喪中】 
    10/19 12:41

    いい話ですね
    今時は親が過保護過ぎて経験少なく大人になるので、
    我慢することや耐えること、トラブルを事前に回避すること、自分が失敗したことから学べることなど、できずに大人になる人が多いので問題にぶち当たると耐えしのぎ這い上がることが出来ず簡単に自分の命を粗末にするのだと思う。仕事も手とり足とり教わってるのに気に入らないと文句を言ってやめてしまう。与えられた仕事の中から自分の肥やしになる部分を作れないんですよね
  • ぶたネコ*明日は明日の風が吹く〜☆ 
    10/19 14:02

    かる

    すっごい分か

    意識の差よね
    そしてそのイヤな時代も記憶に留めておくこと
    そしたらいつか分かるようになる
    納得いかなければ、神様が与えた試練には乗り越えられないものはないと信じやりつづける。
    でも、雑務と思い続けていたら無理かも

    キノピーのように自然と身に付く人もいれば、誰かにハッキリ言われて気付かされてから見直す人もいる。
    話すって大事かもね。。。

  • ☆紫龍紅☆庭・魚・お仲間様・友達・感謝有難う 
    10/19 15:55

    こんにちは!
    木下先生。
    人生は何一つ
    無駄がないですね
    若い頃の経験
    あの頃
    先輩に反発と
    でも、段々と
    言われた、意味も
    理解して仕事
    今を生きている。

  • ライラック 
    10/19 18:11

    こんばんは

    その通りですね。もう一度、自分を振り返ります。ありがとうございます

  • ふぇーちゃん 
    10/19 18:59

    有意義なことでも、本人の意識によってプラスになるかそうでないか分かれますよね
  • ranbo 
    10/19 22:08

    まさに「人間万事塞翁が馬」そのものではないでしょうか?
    人の(先輩の)気持ちを汲んでいる人間がどの位居るでしょうか?
    学校で習った知識より現場の気転がどの位役に立つか?生かされるか?解ってから行動をとって欲しいものです。
    若い子には知識しかないのですから…。
    経験が無い為にその状況で人の生死を左右する時に何が出来るか?教科書には知識には載っておりません。
    その点を理解された上でのつぶやきですか?
  •  
    10/20 19:09

    ありがとうございました(^-^)
  • ☆絵莉夏★魔法にかけられて♪*:。. 
    10/21 00:12


    思わず20代の頃を振り返りました・・

    バカだった事 悔やむ…(T_T)

    でもその中から学び成長できたら いいな って、二度とバカを繰り返さないって 決心したいと思いました。。

    耳がイタい事だらけですが 今から変わりたいと思いました
    いつも貴重なお話しありがとうございます☆
    m(_ _)m


  • キャラメルポップ 
    10/22 08:53

    私も同じく、そう思います

    何の仕事をしてもそこで自分を発揮して、深い仕事に繋げて行けば、つまらない仕事なんてない。

    興味を持てば世界は広がるし、持たなければ一生何にも考えずに仕事の意味も理解せずにのらくらとただ言われた事をやるだけの退屈な毎日が繰り返されるだけ

    同じ様にみんな一時間、1ヶ月、一年、一生を過ごすのに、学習して段階が上がっていく人と全く変わらないで愚痴ばかりの人とがいる。

    有意義な一生を送りたいものだと思います。


  • つくし 
    10/22 13:37

    なるほどです
    自分の意識で全く時間の過ごし方が違ってくるものなのですね。
    環境が悪いから、誰々がこんな仕事しかくれなかったからとか、
    人のせい、モノのせいにしていて
    いつまでたってもそれでしかない成長のない自分のままです
    時間をただ消費するだけの人生は送りたくはないと思いました。
  • GREEにログイン(新規登録)するとコメントを書くことができます。
    ログイン(新規登録)