今朝も、致知から勉強させていただきます。

  • 木下博勝 公式ブログ/今朝も、致知から勉強させていただきます。 画像1
僕も、養生訓は知っていましたが、病家須知は知りませんでした。すぐに読んで見たくなりました。

 

「幻の養生書『病家須知』に迸る人間愛」
       
                   
中村節子(看護史研究会会員、藤沢市立看護専門学校元校長)

         
江戸時代後期に、町医・平野重誠(じゅうせい)によって著され、
 それまでの看護法を集大成した
 日本初の看護書といわれる『病家須知(びょうかすち)』。
 
 貝原益軒の『養生訓』と並ぶ養生書の二大金字塔とされながら、
 その存在はほとんど知られていませんでした。

 書名が「病人のいる家」+「須く知るべし」
 から取られているように、内容は養生の心得に始まり、
 療養、介護、助産、さらには医者の選び方や
 終末期ケアについてなど多岐に亘ります。

 昨年、看護史研究会が発足五十周年を迎えたのを機に
 「何か看護学生のために役立つものを」と考え、
 本書の現代語訳に取り組むことになりました。
 メンバーは二十代から七十代の専門家十数人です。

 現代語訳に取りかかる前に、
 私はまずこれを書いた平野重誠の人となりを知りたいと思い、
 図書館を訪ねてみました。
 
 しかし詳しい資料は見つかりません。
 方々を探し回った挙げ句、漢方の専門書に記されてあった
 名前だけを頼りに、歴史家の先生方七名に手紙を出しました。
 
 そうして、北里研究所東洋医学総合研究所の
 小曽戸洋先生から返信をいただけたことで、
 重誠の子孫の方とも連絡を取ることができ、
 埋もれていた歴史に一条の光が差し込んできました。

 著者・平野重誠の生年は一七九〇年。
 幼い頃から父親に医術を学び、
 徳川将軍家の主治医だった多紀元簡に師事するなど
 大変な秀才でしたが、官職には就かず、
 生涯を町医者として過ごしたといいます。

 一七一三年、『養生訓』の刊行を機に
 健康指南書が相次いで出されたものの、
 いつしか「医」は仁術から算術へと堕落し、
 人々の間にも健康はお金で買うもの、
 といった風潮が広まっていました。
 
 そうした世の流れに抗い、日本人が伝えてきた
 日常の心がけを基本に養生や看護の方法をまとめ、
 一八三二年に出されたのが『病家須知』でした。

 本書が他の養生書と異なるのは、
 重誠が実際に現場で行ってきた臨床体験や
 自らが試して効果を得たことを
 具体的に書き記していることです。
 
 大病後に夜寝つかれない人を眠らせる方法を
 挿絵入りで解説したり、産後の寝床の図を示したり……。

 医者は病気になった人を治療するのではなく、
 病人が回復に向かう過程を手助けしていくのが
 本来の役割であること。
 
 そして自分の健康を自ら維持し、
 未病で防ぐための養生法に、最も重点が置かれているのです。
 
 結果的にこれが最も医療費を安く済ませる手段に
 なるのではないでしょうか。


 中でも私が強く衝撃を受けたことが三つありました。
 
 
 一つは、およそ病気というものは、
 皆自分の不摂生や不注意が招くわざわいであること。
 
 
 二つ目は、摂養を怠らず、
 療薬を軽んじてはならないこと。
 
 
 三つ目は病人の回復は看病人の良し悪しで
 大きく変わる──「医者三分、看病七分」の考え方でした。
 
 これは私自身が老輩者を看護したり、
 家族の看護に十数年間携ったりした経験からも、
 実感としてありました。

 これまでの日本の近代看護は、ナイチンゲールをはじめ、
 欧米から移入されてきたことから教育が始まっていますが、
 『病家須知』の成立はそれから二十年を遡ります。
 
 人間が本来持つ自然治癒力を高め、
 それを引き出していくという日本独自の視点や
 看護の土壌が存在したのではないか、
 というのが私たち研究会の見方でした。


「日本を知ることは江戸を知ることである」と言われますが、
 江戸時代と現代とは共通する部分が数多くあります。

 重誠は薬の服用について
 「薬をみだりに飲んではいけない」、
 医者を選ぶ時は
 「常に勉強している先生を選ばなければならない」等と
 記述していますが、重誠自身がまさに
 そのように生きた人でありました。
 
 彼の生きた時代は、ちょうど和蘭から
 西洋医学が入ってきた頃でしたが、
 重誠は治療の役に立ちそうなことは何でも取り入れ、
 普段の治療に役立てています。

 その克己的な生き方は、医聖と呼ばれた
 ヒポクラテスの「医の倫理」にも通じるものがありますが、
 これを言行一致させ、その通りに生きていくのは
 並大抵のものではありません。
 
 重誠は自分がした辛い思いを子孫には
 させたくないとの考えからか、
 孫の代まで医者を継がせることはしませんでした。

『病家須知』には、先に述べた養生の心得などの他に、
 健康を保つための食事や病気をした時の食事療法、
 子どもを育てる心得、病気が伝染る理由、
 消化不良や吐き下し、吐血、ひきつけ、脳梗塞、
 動物から咬まれた時、切り傷など、
 日常生活で起こり得る病の対応、
 婦人病、懐妊時の心得から無事に子どもを産ませることまで、
 実に事細かに記されています。
 
 そして片目を失明していたにもかかわらず、
 各漢字の横には小さな小さな文字で、
 素人にも読めるよう意味振り仮名が打ってありました。

 重誠はそんな自身の生き方を
「世話焼き心で、いても立ってもおられない性格」
 と自嘲気味に語っていますが、その根本には、
 人々を何とかして救いたいという
 重誠の迸るような情熱と人間愛とがあったのでしょう。

 現代は簡単に自殺をしたり、
 人を殺めたりしてしまう時代です。
 
 私は助産師をしていたせいか、
 人間は一人ひとりが選ばれて
 この世に誕生しているわけですから、
 どんなに辛い思いをしても、
 人間として生きてこそ価値があると考えます。
 
 子どもたちには、踏まれても踏まれても
 強く生きていく雑草のような存在であってほしい。
 
 その逞しい元気な体と心をつくるのは、
 やはり大人の責任であると思うのです。

『病家須知』の現代語訳完成は、
 皆様の健康づくりのための
 一滴の雫のようなものかもしれません。
 
 しかし、それを読んだ人たちがいかに内容を吸収し、
 自分の中に広げていってくださるか──。
 それが私たちの願いであり、
 人々の健康と幸福を心から願った
 重誠の切なる祈りではないかと思うのです。

 
  • コメント(全22件)
  • ひーちゃん 
    12/11 12:02

    きのぴー先生


    この、お写真のネクタイとメガネとても似合ってます


    きのぴー先生の笑顔が素敵です


    きのぴー先生にお目にかかって握手してもらいたいで


    今から、ハンドクリームつけておきます




  • ぺりぱとす☆))) 
    12/11 12:03

    おはようございます

    勉強させて頂きました。
  • ‡リリコ‡(アプリお誘いお断り!!) 
    12/11 12:09

    キノピー素敵です!

  • さくら*お仲間サマ感謝デス* 
    12/11 12:27

    とても参考になりました♪看護師さんにもぜひ読んでいただきたい本ですね!
  • くみ 
    12/11 12:30

    先生
    日も
    りがとうございますm(_ _)m
  • あらゆる出会いに有り難う、サヨウナラ★ 
    12/11 12:46


    【江戸幕府を悩ませ続けた看護・介護問題の困難さは
    現代医学が抱える諸問題に通底する】とは聞いた事があります。

    無性に黒沢映画の【赤ひげ】もみたくなる長文ブログ、お疲れ様で

  • ブラジルコーヒー美味しいんだョ♪りんごちゃん☆ 
    12/11 13:37

    キノピー先生
    コンニチハ


    先生はホント勉強熱
    スキなんですね


    私は家族の介護を15年やってま

    現代医学では治せない病気です…

    これまでいろんな医者や看護師 にお世話になってきました

    家族が病になって
    治せない病気と言われても
    うちには奇跡が起きるんだ!助けたいと…藁をも掴む勢いで

    病気について
    なにげに言われた一言で
    嬉しかったり
    傷ついたり…

    負けるもんか
    !て思いなが
    人のいない所でいっぱい涙を流して立ち上がってきました!

    おもいやりと
    行動力があるキノピー先生
    応援しています!


  • lancer☆温故知新☆ 
    12/11 14:08

    木下先生、すごくいい企画ですね
    者だけでなく、医師、看護師を含めて古の書から学ぶことは多いのではないでしょうか。看病七分の部分は、先生たちの立場の方々にも非常に重い言葉ではないでしょうか。こういう本から医療技術の発展とともに、精神面を含めたケア環境の向上がなされるといいですね

  • 浅野茂勝公(浅野鷹の羽) 
    12/11 14:13

    何で、プロレスレスラーってプラチナムプロダクションの上原優美を殺し
    おいて、良く平気なぁ顔で、生きていますねぇ ファイ

  • アルプスの少女ハイジ 
    12/11 14:35

    きのぴー先生
    んにち
    いつも
    当に勉強になります
    りがとうございます
    o(^-^)o
    重症心身障害児施
    保育士として
    クター
    ース
    援員
    一緒に
    仕事させてもらってます

    きのぴー先生のお話
    生かしながら
    さんと
    携をとりなが
    子ども達の為
    私の力が出せるよう
    日々
    強しながら
    張りま

    来年の介護福祉士の
    家試験
    指して
    張りま


    きのぴー先生
    忙しい毎日
    すが
    身体気をつけて下さいねo(^-^)o


    ジャガーさん
    維志く
    の笑顔
    きのぴー先生のパワーに
    がっていると思いま

    きのぴー先生家族に
    ッピーいっぱいありますように

  • 。+mo桃mo+。 
    12/11 15:42


    木下先生…こんにちは^^ゞ

    今日も致知でのタメになる お話…アリガトウゴザィマス^^^♪


    いつも思うのですが
    これらの文章
    コピー貼り付けですか?

    それとも 先生が書いて(打って)らっしゃるのでしょうか?


    後者でしたら お忙しいのに凄いですね


    今日も寒いですね。

    昨夜の皆既月食は見れましたか?

    私は子供と望遠鏡で見ましたょ。
    やはり神秘的で美しいですね‥


    今日もお身体御自愛なさいませ^^ゞ



  • 沙耶香(LAM) 
    12/11 16:44



    深いい話し

    ありがとうございま

  • ☆しょう♂もう…40才… 
    12/11 17:15

    o(^▽^)o久しぶりに、コメントしに来ました
    また覗きに、来ます(`_´)ゞ
  • ちゃん、アプリ招待マジで禁止 
    12/11 17:58

    こんばんは、頭が毎日ガンガンするのですが何か解消方があれば教えてください。ロキソニン飲んでも効果はいまいち
  • 金のぶどう【いまここ】 
    12/11 23:25

    先生、素晴らしい日記を有り難う御座います。

    養生、看護に対する考え方に大変共感しました

    これからもお体に気を付けて、高みを目指して頑張ってくださいね


  • どうでしょう 
    12/12 01:20

    初めてコメントさせていただきます。

    「看病人の良し悪しで大きく変わる」

    確かに、実感できるのですが、自分の職場では、特に役職・勤務年数が長い職員は忘れている、忘れられている事なので…先生の許可さえあれば、職員や患者様、患者家族様にプリントして配りたい…

    まずは、我が身から。明日からも、頑張れそうです。ありがとうございます。
  • mikacchi☆〔体調↓の為、in↓〕 
    12/12 01:53

    木下先生… 私の住んでいる町で皆既月食を見に行っていた小6と小2の男の子兄弟が飲酒運転の軽トラックにはねられ即死しました。こんな不合理な事、あっていいんでしょうか

  • ぽにょ、妊娠中につき放置中 
    12/12 07:00

    特養で介護やってます。何故かドクターの中には施設入所を嫌う人もいます。一昨日夜勤で、咽頭癌、食道癌、リンパ節転移の利用者で吐血して救急要請したのに、受け入れ先見つからず亡くなりました。療養型が少なくなった分、今まで病院でやっていたターミナルケアが施設に移行されつつあります。医者不足とも聞きますが、介護士も不足して負担が大きいです
  • 真宵ちゃん★多忙につき放置陳謝★ 
    12/12 08:58

    木下先生、おはようございます。
    すごいためになるいい話ですね…我が家にももう天に召されていますが過去に要介護の祖父がいました。もうその時は仕事も多忙で両方ともなあなあになってしまっていたので、この言葉を知っていたらなあ、と今更切なくなりました

    すばらしくためになるお話をありがとうございました

  • 42 
    12/12 18:04

    タメになるお話しをありがとうございます。
  • 《ホッと一息》 
    12/13 06:54

    貴重な日記ありがとうございましたm(__)m(^_^)/~
  • miiiiichan 
    7/22 17:47

    すぐに忘れる病気ってあるんですか?
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