愛読書、致知より紹介させていただきます

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最近、携帯電話をスマートフォンに変えました。

操作に慣れないでいまして、ブログの更新も携帯からはしにくい状況で、更新頻度か少なくなっています。

今回紹介させていただくのは、内側から光る、というくだりに特に考えるところが、僕はありました。


 「泥を肥やしに咲く花」
             松原紗蓮(浄名寺副住職)
『致知』2009年3月号「致知随想」



 私が愛知県西尾市にある浄名寺に預けられたのは、
 2歳7か月の時です。

 幼い頃に両親は亡くなったと聞かされ、
 親代わりの庵主様や、世間様の
 「お寺の子はいい子だ」という期待の中で育ちました。

 同級生からはその逆に、お寺の子であることや、
 実の親のないことをからかわれ、酷い苛めを受けてきましたが
 「どんな時も前向きでいよ」という庵主様の教えを守り、
 泣き出したくなる気持ちを必死に堪えながら幼少期を過ごしました。


          * *


 張り詰めていた神経の糸が切れたのは、中学2年の時です。

 役所に、ある書類を提出する際、庵主様から
 「実はねぇ」と言って、出生の秘密を打ち明けられたのでした。

 聞けば、両親は私が幼い頃に離婚し、母親が再婚する際、
 娘の私をお寺へ預けたというのです。

 自分は生まれてきてはいけない存在だったんだ。

 一体何を信じて生きてきたのだろう?

 事実を知った私は、頑張るということに疲れてしまいました。


 そして3か月間泣き通した後、私が選んだ道は、
 髪の毛を金色に染めて、耳にピアスの穴を開け、
 あらゆるものに歯向かい、強がって見せることでした。

 暴走族の仲間たちと一晩中走り回り、家出を繰り返す毎日。
 14歳で手を出した薬物はその後7年間、
 1日としてやむことがなく、私など消えてしまえ、
 という思いから、幾度となく自傷行為を繰り返しました。

 心配をした庵主様は、私が20歳になった時に
 「最後の賭け」に出たといいます。
 私を京都の知恩院へ21日間の修行に行かせ、
 そこで尼僧になる決意をさせようとしたのです。

 金髪のまま無理やり寺へ押し込められた私は訳が分からず、
 初めのうちは反発ばかりして叱られ通しでした。

 ところが10日目を過ぎた頃、
 教科書に書かれてある仏様の教えが、
 読めば読むほど、庵主様の生き様そのものと
 重なることに気づいたのです。


 例えば「忍辱(にんにく)」という禅語があります。
 私がグレていた7年間、普通の親であれば
 間違いなく音(ね)を上げてしまうような状況で、
 庵主様はただひたすら耐え忍んでくれたのだ。
 それは親心を越えた、仏様の心というものでした。


 また道場長から「少欲知足」という言葉を教わり、

 「髪の毛や耳のピアスなど、自分を着飾る物
  すべてを取り払っても、内から輝けるようになりなさい」

 と言われました。人間は無駄な物の一切を削ぎ落とした時に、
 初めて自分にとっての大事なものが見え、
 本当の生き方ができるようになるのだというのです。

 私はふと、庵主様の生活を思い浮かべました。

 庵主様はお洒落もしなければ、
 食べる物にお金を掛けたりもしない簡素な暮らしで、
 他の楽しみに時間を使うこともなかった。

 ではその分、一体何に時間を使っていたか。
 そう考えた時に、庵主様はすべての時間を
 「私を育てる」という一事に使ったのだと知ったのです。


 私の思いの至らなかった陰の部分では、
 どれだけ多くの人が自分を支え続けてくれたことか、
 御仏の光に照らされ、初めて親のお陰、
 世間様のお陰に手を合わせずにはいられなくなりました。

 そして教科書を読み進めれば進めるほど、
 止めどもなく涙が溢れてきました。

 修行の後、お寺に戻った私が庵主様に、
 なぜ私を叱ったり、本当の気持ちを
 聞かせてくれなかったのかと尋ねたところ、
 庵主様は


 「人間は、時が熟さなければ分からないことがある。
  ひと月前のおまえに私がどれだけよい言葉を聞かせても、
  かえって反発を生むだけだった。

  いまおまえが分かるということは、
  おまえに分かる時がきたということだ。
  仏道は待ちて熟さん」


 とお話しになりました。

 庵主様には1つの願心があり、
 私がグレ始めた14歳の時に、10年間は黙って
 この子を見守ろうと決めたのだといいます。
 そして自らには、何があっても
 「平素のように生きよ」と誓いを立てたということでした。

 私はいわば、お釈迦様の手の平の上で暴れていた
 孫悟空のようなもので、
 自ら命を絶とうと人生に背を向けていましたが、
 どこまでいっても結局は庵主様の手の平の上にいた。
 
 庵主様が私を慈しんでくださる心は無限に広大で、
 私はその大きな大きな慈悲の中に
 生かされていたのだと知ったのです。

     * *

 23歳で剃髪出家をした時、私は庵主様に
 「紗蓮」という法名をいただきました。
 後にある方から


 「美しい蓮(はす)の花は、
  泥まみれの池の中にしか咲かないのだよ。
  人生にも、悩みや苦しみはあって当たり前で、
  その泥を肥やしにしてこそ大輪の花が咲くのだ」


 と教わりました。
 振り返れば、14歳から20歳までのどん底の時代が、
 私にとってはまたとない、よい肥やしになったと感じています。

 今年31歳になった私ですが、現在はお寺でのお勤めの他、
 市の教育委員会からの要請で、悩みを抱える子供たちの
 自立支援相談や講演活動を行ったりしています。

 非行に走る子供たちはそれぞれに、人に言われぬ苦悩を抱えています。
 けれども、だからこそ大きな可能性を秘めている。
 人一倍光るようになるよ、この子たちは──。
 私はいつもそんな気持ちで子供たちのことを見守っています。

 
  • コメント(全26件)
  • @0ギア 
    8/23 03:17

    私、スマートフォンです
  • Mちゃん【チャンガは「抑えられない好奇心」踊れる日まで頑張ります☆.。.:*☆】 
    8/23 03:25

    最近、携帯ばかり触って…

    本と接する機会がな


    また、本を読んでみよう
    思いました

  • 沙耶香(LAM) 
    8/23 03:59


    先生も『青春時代』があった証ですね。
    なんか可愛い(笑)
  • よし 
    8/23 03:59

    先生、おはようございます


    素晴らしい記事のご紹介、ありがとうございま


    耐え忍んで、その中で自分の光を見出すことが大切ですね



    朝から良い言葉に出会いました。感謝します


    それと、9月1日の藤尾社長の講演会の前に、致知出版の方とお会いするチャンスに恵まれました


    すごく嬉しいです


    先生のブログも紹介します

  • まゆ♪《全てのイベ×》 
    8/23 03:59


    良いお話でした。

    親と言うのは、『無償の愛』で子育てして行く物です

    地元のお寺様のお話だったので、一度機会があればお目にかかれたらなぁ〜と思いました。



  • 桜リオmama(次女9ヶ月)ゲーム× 
    8/23 04:08

    私もグレグレだったので気持ちがわかり泣けちゃいました

    私もやっぱり
    当時は仏教で救われた1人です。


    神仏の教えは勿論ですが
    この和尚様素晴らしいですね〜

    私も娘が寂しい時は決して叱らず見守り続けよう!と反省しました

    先生ありがと





  • ミッシェル 
    8/23 04:41

    今辛いことがいろいろ重なってますが、それが今後の私の肥やしになると思って乗り越えて行こうと思います。
  • ちゃん 
    8/23 04:47

    時が熟さないと何を言っても無駄、のところは、共感しまし


  • ちまめまん 
    8/23 07:55

    俺もちゃんさんとおなじ
    時が熟さないと何を言っても無駄、のところは、共感しまし

  • sora.3月マデ-6kg 
    8/23 08:12

    この大震災で、大切なものを沢山失いました
    失って分かったこと
    沢山あります
    気づいた事も
    沢山あります

    生き方が変わりまし
  • ひーちゃん 
    8/23 09:11

    信心深い家に私は生まれ、仏教の教えのある幼稚園や女子高に行ったので、影響を受けて生きてるので、み仏さまの、お話とても心に染みて感動しました


    私も、内面をより一層磨いて、輝く人になろうと思います


    勉強になるお話ありがとうございます



  • ゆうゆ 
    8/23 10:08

    素敵なお話ありがとうございます

  • うーσぐだぐだめんどくせーっ(´д`|||) 
    8/23 10:27

    自分も子供の頃転校をして、謂われのないいじめにあい、曲がりそうになりました。

    母が信心深い人で、どんな仕打ちにあってもお前は決して自分の命は粗末にしちゃいけない。お前一人の命じゃない、仏様、周りのみんなのおかげさまで生きてるんだよ。と言われました



  • あ〜や☆ 
    8/23 10:44

    親になると親がいかに忍耐強く自分を育ててくれたかが分かります
  • ♪みやび♪ 
    8/23 10:50

    アクセサリーや服を取り去っても、内側から光る人間になりたいです。なる努力をします。
  • 花 最近お疲れ気味なの(>_<)m(_ _)m 
    8/23 12:25

    身にしみまし
  • お蜜柑。 
    8/23 12:35

    グレるなんて自己中でダサいですわ。もし命を落としていたら?と考えると、やはり厳しく言うべき時は言うべきでしたね。このかたは第2の普通の人生を歩もうとせず、尼さんになったのは偉いと思います
  • よろにゃん 
    8/23 14:04

    とても心に沁みるお話、ありがとうございました。

    いろいろ考えさせられました…
  • みか☆LP☆裏チケ終 
    8/23 16:59




    「人生には悩みや苦しみがあって当たり前………」

    本当にその通りですよね


    自分だけが苦労してると思ってはいけません


    幸せそうに見える人でも何かしら苦労はしてると思います


    生きて行くのに苦労は当たり前と考え、
    何が起こっても決して落ちたりせず、
    いつも前を向いていたいで


    良いお話ありがとうございました



  • 42 
    8/23 19:24

    生きていくのは大変ですよね、本当に。
    「妙蓮」素敵な名を授けて下さったのですね。
    悲しみ、苦しみは当事者にしか解らないもので、周りの人間はそこから、乗り越えてくれるのをただ見守る事しか出来ません。
    妙蓮様はそっと寄り添っていてくれる方の存在に気が付けた事こそ、宝なのですね。
    そういった存在は、貴重です。私自身も、そういった事に気付ける人間でありたいです
    素敵なお話をありがとうございますm(_ _)m

  • くみ 
    8/23 20:25

    本人にとっては辛い日々だったかとは思いますが…素
    なお話をありがとうございましたm(_ _)m
  • ゆきっぴ 
    8/24 00:29

    私も子育て忍耐で頑張ろう
    思いました。すばらしいお話しありがとうございまし
  • ぺんきち☆ぼくレスのみゆっくり参加 
    8/24 09:08

    人間は、時が熟さなければ分からないことがある…
    本当に、その通りだと思いました
    いつの間にか、子供に無理な理解を求めていたと思います。
    とても、大事な言葉を教えて頂きました
    ありがとうございました

  • ぺりぱとす☆))) 
    8/24 10:27


     「少欲知足」いい言葉ですね
    ういう体験談(実体験)に耳を傾けることが始まりのはじまりですね正に
    わらない人が文句を言いますが〜ちゃんちゃらお門違いですね(笑

  • 42 
    8/24 15:09

    「紗蓮」でした。
    字を間違うなど失礼ですね。失礼致しましたm(_ _)m

    訂正し、お詫びします。
  • ティアラ 
    8/25 08:02

    深いですね。

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