夕焼け寺ちゃんに出演します。15時30分からです。

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今日は、食中毒についてお話をさせていただきます。

それと、致知から今日も紹介させてください。

「東京大空襲で見た母子の愛」
       
       
         西村滋(作家)
        
        
       『致知』2011年6月号
         特集「新生」より


 ともかく何か職を探そうと、昭和十七年、
 十七歳の時に単身上京しました。

 実は終戦近くになって自分も結核を患い、
 世田谷の療養所に入っていたんですが、
 当時は外科病院が人手不足のため、
 回復期にある病少年を手伝いに行かせていたんです。
 
 割合に元気だった僕は昭和二十年三月九日の夜、
 浅草にあるその病院へ行きました。

 ただ御徒町の駅に降りると、何だか嫌な感じがするんですね。
 予感というのかな。
 
 で、病院に着いて怪我を負った少年のベッドの傍に座った途端、
 警戒警報が出たんです。
 それからしばらく静かなだと思っていたら、
 いきなりガーンッ! と爆撃が始まった。

 外を見たら電線が垂れてるわ、家がゴーゴー燃えてるわで、
 えぇっ!? と思ってね。
 
 ここにはいられない、と怪我の子を連れて
 廊下へ出たらその直後、病室に爆弾が落っこったんですよ。
 もうちょっと遅かったら死んでましたね、本当に。


 とにかく外へ飛び出すと、両側の家が激しく燃え上がり、
 みるみる広がっていく。
 目の前に乳母車があったので、どうせ燃えるのならと頂戴して、
 その子を乗っけて一目散に駆けました。

 皆は隅田川の橋へ橋へと逃げる。
 
 僕は勝手が分からないから、とにかく他の人についていく。
 すると橋の手前は渡れない人でいっぱいで、どうにもならない。
 
 それでまた大通りへ戻ってきた時に、
 これは風上へ逃げたほうがいいと考えました。
 それを突破できれば火に追われることはない。
 
 でも大変ですよね。
 目に火の粉は入っちゃうし、
 そのうちに強い熱風がきて乳母車から手を取られてしまい、
 その子とは離れ離れになりました。

 とにかく向こうの建物までは、と考えたんですが、
 途中で僕も力尽きて倒れ込みました。
 
 五分刈の頭は火に炙られて脂が浮き出てくる。
 焼けた物が飛んできて着ていた服に火がつく。
 こんな所で焼き殺されるなら死んだほうがマシだ──。
 
 そう思って舌を噛みました。
 でも力が足りなくて、切れなかったんですね。

 そのまま失神しそうになった時、
 「こっちだ、こっちだ」という声がしてゴロゴロ転がっていくと、
 自分が天麩羅のネタになったようにシューッと音がして、
 衣服の火が消し止められたんです。
 
 電車の線路の枕木が爆弾で剥がれた所に、
 消火用の機器が置いてあって、誰かがぶちまけてくれた。
 それで奇跡的に助かったんですよ。


ただ、軍隊のトラックが無茶苦茶に走っていて
死体の上を踏み潰して走る。
こっちが生きてることを示すために必死に手を振って
「寝ちゃダメだ、寝ちゃダメだ」と
周りにいた皆で声をかけ合いました。

それでも、いつか気が緩んだんでしょうね。
気がついたら夜が白々と明けていました。

 焼け跡を素足で歩くのはまだ熱いぐらいでしたが、
 僕は放心状態になったまま足を動かしていました。
 何か、助かったという気がしない。
 あたりは地獄絵ですよね。
 
 皆死んでて、焼け死体。
 軍隊が来たんですが、遺体処理に困り、
 積み上げた死体の山にガソリンをぶっかけて燃やしている。
 誰が誰だか分かりゃしない。
 
 でも僕はそれを見ても何の感情も起きないくらい、
 ポカーンとしていました。


        * *


 そのうちにある場所で、人が集っているのを目にしました。

 見ると若いお母さんが死んでいるんですが、
 その路地の突き当たりが石塀で、
 どこにも進めない所へ入っちゃったんですね。
 
 前にも後ろにも行けなくなって、
 結局子供だけでもお母さんは守ろうとしたんじゃないでしょうか。

 素手で穴を掘ってね、
 その穴へ子供を埋めて、自分の体で蓋をして……。
 
 その子は死んでいます、もちろん。
 死んでいましたが、お母さんのおかげで
 非常にきれいな遺体でした。
 お母さんの背中は焼け焦げてもう真っ黒……。

 それを覗いて見た瞬間、僕は説明を聞かなくても
 事情がすぐに飲み込めました。
 その時に初めて人間に戻ったんじゃないですか。
 ウワーッ! て泣いたんですよ。
 
 他の人がびっくりして
 「あんたの知ってる人か」と聞くから
 「知らない人じゃ泣いたらいけないのか」と怒鳴って、
 ワアワアワアワア泣きじゃくりました。

 あの時、なぜ泣いたかといえば、
 自分の母親のことを思ったからです。
 
 どうせ助かる見込みはないのに、
 穴を掘って子供を埋め、自分の体で蓋をしてる。
 これがお母さんというものかと思ったから涙が出たんでしょう。

 
  • コメント(全24件)
  • na** 
    5/17 14:32

    凄く泣けます

  • トト 
    5/17 14:46

    ごめんなさい

    今この時期にあまり、良くないのでは。
    とても、よいことのようですが

    余り今の時期は、辞めください。
  • ひーちゃん 
    5/17 14:50

    寺ちゃんのメガネも個性的ですね
  • ネル 
    5/17 15:02

    戦争で日本=悪と教えられ当たり前に思ってる人も多いので、もちろん日本が戦争したことが正しいと言ってる訳じゃありませんが自国の歴史や背景を知らない人達も多いのでどんどん伝えてほしいで
  • まみ 
    5/17 15:09

    同じ母親として とても わかります

    多分私もそぅすると 思います

  • (株)夢★ 
    5/17 15:31

    寺ちゃんと 兄弟みた〜い

  • 香澄(多忙) 
    5/17 15:59

    今、文化放送のラジオを聴いていますよ


  • はち#順調に回復中 
    5/17 17:14

    切ない話ですね。
  • さるりん(腰痛オババ超やさぐれ) 
    5/17 17:22

    私も、我が子を守るためなら、自分の命 張れます。
  • のん(ρ_-)(スマホに悪戦苦闘) 
    5/17 17:26

    切なすぎて・・・
    涙が止まりません・・・
  • リーゼ(・_・、) 
    5/17 17:41

    自分を戒められた気がしま
    私だったらどうしていただろうと考えたら、愚かだったかもしれない。

    今、私は家族の事で悩んでいるけど、私がいかに弱いか…解りました。


    まだまだ頑張っていかなきゃいけないな

  • 42 
    5/17 17:46

    母は強
    悲惨な戦時下のお話ですね
    二度とあんな悲惨なことは繰り返してはいけないんです(ρ_;)
  • 《ホッと一息》 
    5/17 19:43

    虐待する親達が…問題視されている現代(>_<)
    聞かせたい話ですよ

  • ミルク 
    5/17 21:37

    東日本大震災で、子どもを抱いた形で亡くなってたお母さんがいたというお話を思い出します…。

    東日本大震災でもそういう光景は、多々あったのかと思うといたたまれない気持ちになります

    子どもと一緒に当たり前に生活できる今を大切にしなくていけないな…と思いました。
    自分の子どもには、つい怒ってしまいますが…

  • まる(ゴメンね。1月末で脱会します。) 
    5/17 21:47

    先生!私、土曜日の夜から、下痢と嘔吐で救急外来に行って点滴して来ました。
    大家族の内、私だけなんですが、食中毒なのでしょうか?
    急性胃腸炎とかは、一回なると、またなりやすいんですか?
    3月頃も、同じ症状で、その時は入院させられました
    今回は、高熱も出ました。
    食中毒について、教えて下さい。
  • ぴーみ 皆様有難うございましたm(_ _)m 
    5/17 22:41

    先生、こんばんは


    たいしくんと同じ年の子を持つ2児のママです


    涙が止まりません…

    かわいいわが子を必死で守ったのですね

    同じ思いがあります

    先生のブログは本当にいいですね

  • すぱんく また、会いましょう。 
    5/17 23:40

    いいお話ありがとうございます
  •  
    5/18 07:34

    母はとても強いです!。
    殊更我が子への愛情には。
  • 笑里 
    5/18 17:02

    とてもいい話ですね

  • ♪みやび♪ 
    5/18 23:58

    母の思いに心打たれます。お母さんありがとうって思います
  • ゆか 
    5/19 21:45

    私も子を持つ母親で

    とっても感動致しました

  • あんとん 
    5/20 11:53

    仕事中に読んだら
    泣きそうになりました涙
    悲しいですね

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