桃色

  • 川崎渓都 公式ブログ/桃色 画像1
仲良しのお婆ちゃんが
庭に桃が咲いたからって
私にくれた。

きっと、この桃の花びらの色が桃色なんだと思う。
どんな桃色よりも桃色らしい桃色だ。

丸くて可愛いでしょ?って吉川さんが笑ってくれた。

うん、可愛い。
吉川さんが私のために選んでくれた桃だから
桃の中で一番かわいい。

色も形も香りも、どんな桃より一番かわいい。


帰り道は大変だった。

商店街の人混みとか

画材屋の商品棚の間の狭い通路とか

バスの座席に座る動作とか

すごく慎重になった。

普段どれだけ、がさつに動いていたのか分かった。

ちょっとした風さえ怖かった。

家に着く直前、すごい向かい風が吹いたとき
とっさに後ろを向いて歩いた。

数歩だけ後ろ歩きした

転ぶかもしれないと、怖かったけど
それよりも桃の花が散ってしまう方が怖かった。

家に着いたら祖母が桃を花瓶に生けてくれた。

それを見たら、なんだか肩の荷が降りたみたいに
気が楽になった。

はぁ…疲れたぁ

壊れやすくて、自分自身よりも大切なものを持って歩くっていうのは
本当に大変だと思った。


花柄の包装紙に包まれてる時も可愛かったけど
花瓶に生けても可愛いかった。


祖母が嬉しそうに
「うちの孫を大事にしてくれる吉川さんには、本当に感謝してる」と言った。

私も吉川さん大好き。
優しくって明るくて、可愛いお婆ちゃん

吉川さんはいつまでも元気なままなら良いのに。


この桃も
いつまでも散らずに
このままなら良いのに。

蕾さえも、ぷくぷくしてて可愛い
蕾も咲かないで、ずっと蕾のままなら良いのに。

この桃だけでも、ずっと


春なんだなぁ

帰り道、川沿いに並んだ枝垂れ桜が咲いてた。
でも幹によって、咲き具合が全然違かった。

日当たりで、こんなに違うのかと驚くぐらい。


人間には個人差があるけれど
桜にもあるのかも。

要領が悪いからって
あんまり自分を責めるのは、やめよう
他人が順調だからって
自分を焦らすのは、やめよう。


まだ咲けていない桜も
もう少ししたら咲くだろう。

今よりもっと春になったら咲くんだな、絶対。


もう春だから変わろう。

環境とか、人間性とか
もっと良い様に変えよう。


日本も変わると思う
ちょっと前までは、終わるんだと思ってたけど
終わるんじゃない、かなり変わる

それが良い方向なのか悪い方向なのか分からないけど
もう元には戻らないのは、たぶんそう。


それなりに覚悟を決めよう。


泣いてしまうことばかり起こったけど
咲きだした桃を見たら、もう全て過ぎ去った事に感じた。

ごく最近起きたはずなのに
もうとっくに終わった事みたい。

もう、大丈夫そう。


変わってしまおう、春だから。


でも

この桃だけは
ずっとこのままで良いのにな