人間失格


あの有名なフレーズ。
これを読むために、370近くのページを「めくり」ました。
ipodなので、正しくは「タッチ」ですが。

この一文を読んだとき、胸に何かが落ちてきました。
人間失格。

あぁ、よく知ってる。この言葉。
国語のテストで覚えさせられた。作者と作品名。
映画化にもなったから、余計記憶に残ってる。

でも知ってるのはこのフレーズだけだった。
人間失格。

人間失格、それって、そういう意味だったのか。

人間失格って、自殺することじゃないんだ。
人間失格って、幸せになるために他人を不幸にすることじゃないんだ。

人間失格って、得ることも与えることも
奪うことも、作り出すことも出来なくなる事だったのか。

葉蔵が人間失格になったとき、私の中に芽生えたのは
同情でもなければ、そういう類の物でもなかったと思う。

快感?喜んでた気がする。
知識を得た時の快感に似てたけど、少し違う。
知識と言うより、理解できた感じだった。

中学に入って
初めての英語の授業で
今まで、なんとなく知っていた英単語の
日本語の意味を習った時みたい。

あぁ、それって、そういう意味だったのか。
そんな感じの快感だった。

ボンヤリ…がハッキリ!とする
理解したぞ!という感覚は
頭の中で謎が、パーンと弾けて
胸の中に意味が、ズーンと落ちてくるような
そんな感じ。

伝わらないだろうけど、私は自分が得た快感を
これ以上にないくらい上手に表現できたつもりでいます。
すみません。


また驚いたのが、主人公の職業が漫画家だったこと。
笑ってしまった。

少年時代から葉蔵は漫画を描いてたんだ。

あの時代の「漫画」というのはどんな物なのか知らないが
漫画というワードに敏感な私は
葉蔵に親近感がわいた。

いや、これまた少し違う。
近いと感じたんじゃなくて、近づきたいと思った。
葉蔵の心に近づきたいと思った。

でも、彼の心は暗すぎた。
彼の心は繊細で、それがちょっと勘に障った。

少年の葉蔵には親しみを感じたが
読み進めるほどに、大人になる葉蔵。
時間が進むにつれて
「コイツみたいにはなりたくない…」と思うようになった。

逆に、葉蔵の様に
繊細で器用で、寂しげで
あんな風に儚くなりたいと思っても
なれないと思う。

私は明るい方じゃないけど
初対面は怖いし
その人に慣れるのに
平均より時間はかかるけど

少なくとも、彼よりは明るいし陽気だし
人に怯えてないから。

葉蔵は私に理解する快感の他に
「優越感」という快感も与えてくれたように思う。

私は彼より、マシな人生を送れるだろう…
という残虐な妄想が、少しだけ浮かんできたんだ。

そして、そんな快感を感じてしまった自分に
だんだん大きくなる罪悪感。

しょせん私も人間だって

こんなものが人間なら
いっそ失格になった方が良いのかしら。


だけど、彼にも夢があった。
絵描きになるって願いながら、なんとなく漫画を描き続けていたんだろうな。

彼にとって漫画を描くことは生活の為のこと。
生活するってことは、生きたいってこと。
絵描きになるって想いが、彼を生かしたなら
漫画を描かなくなった彼は、絵描きを諦めてしまったのかな。
生きるのを辞めてしまったのかな。

私にも夢がある。
漫画家になりたいって思わない日はないぐらい
大事な夢のつもりだけど
葉蔵のように、いつ失ってしまうか分からない。

だらだら生きてたら、知らない間に消えてるかも。

人間失格。
明日は我が身かもしれないな。

えんがちょ。

明日が来る前に寝ちゃいましょ。
おやすみなさい。