ホフマン物語

新国立劇場オペラパレスにて上演された、東京二期会公演、オッフェンバック作曲の「ホフマン物語」を見てきました。

このプロダクションは3年ぐらい前?に愛知県立芸術劇場で新作された装置などを使っておこなわれています。そもそも新国立劇場を作るときのお手本となったのが愛知県立芸術劇場。その舞台機構をフル活用した演出なので、同じことができるのは東京では新国立劇場しかないのだそうです。

オッフェンバックはドイツ生まれですがフランスで活躍した作曲家です。だから「ホフマン物語」はフランス語で書かれていますが100%フランス音楽だなぁ!という感じでもなく、どこか渋い雰囲気もあり、でも官能的。

巨匠・プラッソンによる音楽も素晴らしかったですが、今回の舞台でとくに感じたのは「お金かかってるなぁ!」ということ(笑)。

昨今の不景気で、オペラ界も世界的に経済的苦境に立たされています。オペラはたくさんの人が関わる分お金がかかるものなので、たとえチケットが完売しても、それだけでは採算が取れません。

芸術と呼ばれるものは何百年も前から、貴族やお金持ちの援助によって成り立ってきたものですよね。現代のオペラも、国や自治体からの援助プラス企業や個人のスポンサーの存在によって成立しています。

景気が悪くなると、スポンサーが減る。オペラにお金を出して会社が傾いたなんて冗談にもなりませんから、当然ですよね。財政も悪くなってくると、また財政再建のためにはまず文化から切る!みたいなトップがやってきちゃったりすると…、行政からの援助も減ります。

バブルの遺産?をすっかり使い果たして以降のここ10年ほど、日本のオペラの予算もじわじわと減る一方でした。でもたまーに、何の風の吹きまわしか分かりませんが、潤沢に予算のあるプロダクションというのがあるんですよね。地方に多いように思います。「あいちトリエンナーレ」で制作されたこの「ホフマン物語」もその一つ。

私も最近では、予算がない故の現代演出(時代の衣裳やかつらを作れない)や、予算がない故の抽象的な舞台装置(壁と柱しかない、とか)をいい加減見慣れてきたし、またそういう環境でやることにも慣れました。もちろんそういう舞台がしばしば、簡素であるからこその緊張感に溢れた素晴らしい仕上がりになることも知っています。

でも!久々に、舞台装置にも衣裳にもかつらにもふんだんにお金をかけたと思われる舞台を見たら、「やっぱりオペラって素敵!」と、一人のお客として心が躍る思いでしたよー。歌手の力量も2割増しぐらい?になろうというものです。

歌手としては、お金がかかっていようがいまいが、与えられた舞台をこつこつと、精一杯歌い続けるしかありません。が、アベノミクスが近い将来実を結んで、「これぞオペラ」みたいな贅沢な舞台が次々に制作される時代がめぐって来ることを夢見ずにはいられない、そんな「ホフマン物語」でした。