ダンシング・オールナイト

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再びドバイを経由して、成田に戻って来ました。人生初(もちろん多分最後)、アイルランド流結婚式に出席してきましたよー。

会場は、ゴールウェイ郊外にある、元は修道院だったという建物を改装したホテル。敷地は広大で、ハーフのゴルフコースもあります。

まずは結婚式。明らかに昔は礼拝堂だったと思われる、ホテルに隣接した小さな建物でおこなわれました。私たちが「チャペル」と聞いて思い浮かぶ感じの作り(天井が高く、正面にステンドグラス、真ん中にバージンロードがあって両側に椅子が並んでいる)ですが、今はキリスト教的な行事には使われていないとのことで、十字架はありません。

国民の大半がカトリックというアイルランドですが、二人の結婚式はシビル・セレモニー?という形でおこなわれました。市役所?からレジストラーというお役人さんがやって来て、お式を執り行います。

私は「新婦入場」と「結婚証書に署名」の場面で歌うことと、お客さんが入ってくる時と「新郎新婦退場」の時にCDをかけるという大役を仰せつかっていたので、お式の30分前から式場の中二階で待機。

お客さんを迎えるCDを止めて私が歌い始める(花嫁が入ってくる)タイミングはホテルの人から合図がある、と言われていましたが、お式の開始時間を過ぎても係の人の姿は全然見えないし、ダラ(新郎)はうろちょろするし、だいたい普段着みたいなスーツを着ているからそっくりなお兄さんと区別がつかないし、セレモニーは折り目正しくやりたい日本人の私としては、このままうやむやに「新婦入場」に突入しては困る!と気が気ではありませんでした。

私の殺気が伝わったのか(笑)、用意がととのって定位置に戻ってきたダラが(結局ホテルの人とは一度もコンタクトなし)私にGO!の合図をくれ、おもむろに「新婦入場(プッチーニ『ジャンニ・スキッキ』の私のお父さん、アカペラ)」となりました。

レジストラーはアイリーンさんという女の人でした。黒いスカートにブルーのカーディガン姿で、「ジャケットぐらい着ないのかなぁ」とまたもや日本人の私は思いましたが、お式の内容は大変厳格な感じでした。

私が2曲目を歌う「署名」はお式の最後だったのでのんびりしていたら、意外とお式はあっという間に進行し、指輪交換や「この二人を夫婦と認めます」というような宣言、キスなどがあって、いよいよ「署名(日本の結婚式場で署名する記念品のような結婚証明書ではなく、本当の公の書類、婚姻届のようなもの?)」。ここで歌ったのはヘンデルの「オンブラ・マイ・フ」、2曲とも「キリスト教色の薄いもので」という二人のリクエストでした。

めでたくお式が終わった後はお庭でシャンパン・パーティー。概して天気の良くないアイルランドで、この日は奇跡的な快晴。気温は高くありませんでしたが、屋外でたくさん写真を撮ったりできました。よほど二人の日頃の行いが良いに違いありません

さて、お式が終わったのは15:30頃。そして披露宴が始まるのは18時。なぜこんなに長い空き時間があるのかは知りませんが、その間みんなは何をしているのかと言うと、ホテルのラウンジで談笑。バンドがやってきてジャズ調の音楽を演奏しています。シャンパン・パーティーの続きでシャンパンやお茶はホテルの人が出してくれ、ギネスが飲みたい人は下のパブに買いに行く、という感じ。新郎新婦はその間、街へ出て写真撮影。

時間がくると「椿姫」の “La cena e' pronta” みたいな係の人が小さなドラを鳴らしながらみんなを呼びに来て、披露宴会場へ移動します。披露宴会場と言っても日本のホテルの宴会場のような場所ではなく、ホテルのお客さんが普段朝食や夕食をとるレストランです。

私たちがイメージする「披露宴」というよりは「食事会」という感じで、スピーチや余興、お色直しなんかは一切なし。新郎新婦の両親がビール瓶を持って各テーブルに挨拶して回る、みたいなのもなし。そもそも「ご祝儀」のシステムがなく、かと言って会費制でもないので、私たちは完全にご招待していただいている形です。

高砂はもちろんなく、メインテーブルに新郎新婦とその両親。親族は末席に座るという文化はないようでした。新郎新婦を拍手で迎えたら、普通は本当にそのまま食事をするだけなんだそうですが、やはりそこは新婦が折り目正しい日本人なので(笑)、彼女のお父さんが、必死で練習したという英語と日本語で挨拶して、乾杯となりました。

あとはひたすら楽しくお食事。日本の披露宴だと、お客さんが次々に高砂に押しかけたりお色直しがあったりで花嫁は一口もお料理を食べられなかったりしますが、花嫁もモリモリ食べ、ガンガン飲んでいました(笑)。私たちは日本人なので、遠慮なく高砂に押しかけて一緒に写真を撮りましたけどね。

そうしてみんなが満腹になり、ひとまず披露宴はお開き、というタイミングになって初めて、ウェディングケーキのカットがおこなわれました。ウェディングケーキを食べなきゃ、と言ってデザートを控えめにしていた私たちでしたが、ウェディングケーキが出て来ないうちに「ここをダンスフロアにするからどいて」と言われ、あえなく撤収。

すると先ほどラウンジで演奏していたバンドが3倍ぐらいの人数に増えてドヤドヤとレストランに入って来て、セッティングを始めました。日本人なら10分でやっちゃうのではないかという楽器のセッティングやアンプをつなぐ作業に、1時間半。その間、みんなはまたそのへんで談笑。

時差ぼけで眠ーい私たちがいい加減「ぱっぱとやれ!」と怒鳴りたくなった頃、ようやくセッティングが完了し、ダンスタイムが始まりました。最初は新郎新婦のファーストダンス。ウィンナワルツのようなクラシカルなものではなく、カジュアルな感じでした。

それが終わって、拍手が起きるか起きないかのうちにフロアに踊り出てきたのは、新郎の両親。あとは親戚のおじさんおばさんやら友達やらが入り乱れて、えんえん3時間に及ぶダンスタイム。曲は70年代か80年代くらいの、何となく私にも馴染みのあるダンスミュージックでした。

私たちも、誘われて何度かフロアに出て踊ったりしましたが、何と言ってもパワフルだったのはアイルランドのおばさん達。踊りと言っても特に決まった振りやルールがあるわけではなさそうで、音楽に合わせてステップを踏んだりしているだけなのですが、とにかくノリノリ(笑)。面白かったー。

新郎新婦もホスト役として、ずっとフロアで踊りっぱなし。マグ(花嫁)も、瓶ビールをラッパ飲みしつつ踊りまくる。あんなにお酒の強い子だったっけなぁ。すっかりアイルランドに馴染んでいるみたいでした。

午前1時を過ぎた頃、バンド演奏がそろそろ終了ということで、何とこのタイミングで花嫁からのブーケトス。日本人女子は慎み深くちょっと後ろの方でスタンバイしていたので、ブーケをゲットしたのはアイルランド人のマグの友人の女の子でした。

さてこれでお開き、と思うでしょう?まだまだ続くのです。バンドが帰った後、音楽はDJに切り替わり、またえんえん、ダンシング。どれだけ踊りが大好きなんでしょう、アイルランドの方々。郡上八幡の盆踊りか?

もはや意識が朦朧としていた私たちは、午前2時頃お部屋に戻りましたが、結局明け方の4時まで踊り続けたそうです。恐るべし。こうやって夜通しダンシングするのがアイルランド流ウェディングなのだとか。

いやぁでも、楽しかったです。それ以上にマグが嫁ぐ(っていう言い方が日本的?)お家の方々が(もちろんダラも)とても明るく穏やかで、遠い日本からやってきたお嫁さんを温かく受け入れてくれている様子をこの目で見られて、本当に嬉しかったです。

写真はマグと私、それから式場の中二階の特等席から撮った新郎新婦の退場シーンです。