「アンタ」の世界

わざわざ表明することでもありませんが、私は現在38歳。そろそろ40歳が視野に入ってくる、世に言うアラフォー世代です。

イタリア語では、38は trentotto(トレントット)、39は trentanove(トレンタノーヴェ)、という具合に、「3○」の数字は trenta-(トレンタ)○○と言います。ちなみに「2○」は venti-(ヴェンティ)○○。

それが、40になると quaranta(クワランタ)○○、50は cinquanta(チンクワンタ)、60は sessanta(セッサンタ)、70は settanta(セッタンタ)、80は ottanta(オッタンタ)。

…お分かりでしょうか?40以上は、十の位の語尾が全部〜anta(〜アンタ)になっていますよね。

というわけでイタリアには、エンティ(20代)・エンタ(30代)はまだまだ子供、「アンタ(40代以上)」になって初めて一人前、というような感覚があったりします。

前置きが長くなりましたが(え、今の前置き?)、今日は「秘密の結婚」の初めての通し稽古をしてきました。今回は劇場に入る前に通し稽古が3回もできるという、なかなか恵まれたスケジュールです。

私の暗譜が遅い、というのは前にも書きましたが、もう一つ言うと覚え方が体育会的というか、音を出して芝居をしながら音楽を体に入れていく感覚なんですよね。言えば言うほど言い訳がましいなぁ。

要するに稽古場でひたすら間違えるわけです(涙)。それでもさすがに今日はだいぶ覚えてきたなぁ、と、自分では思ったのに。マエストロ・樋本からは「いい加減覚えろ!」というダメが出ました。本当スミマセン。

家でも電車の中でも、けっこう長い時間、電話帳より分厚いスコアとにらめっこしてるんですけどね。確かに我ながら覚えが悪い。

なんでだ?と思っていたら、学生時代からお世話になっている演出助手のMさんが帰りがけ、「塔子、加齢だよ。40の壁っていうのがあるんだってよ。こっちの世界へようこそ〜」だそうな。

むむむ。加齢。私もそろそろ「アンタ」の世界に足を踏み入れる時がきたのでしょうか。どちらかというと楽しみではあります。歌手としてはようやく少しまわりが見えて、目指す音楽と技術や体のバランスが取れてくるのではないかという年代。何と言っても「アンタ」になって初めて一人前ですから。

でも、暗譜の苦しみは年々増してくるということですね。覚悟しようではありませんか。「稽古場で体で覚える」とか言ってないで、暗譜のための練習をもっとして。ドラえもん、「暗記パン」くれないかなぁ。