譜読みと暗譜、ウサギとカメ

音楽家が楽譜と対面して最初にする作業が「譜読み」です。作曲家のイメージした音楽は楽譜という形で残されているので、それを読み込んで、もう一度音楽として再現するための準備ですね。

歌の場合は音やリズム以外に言葉という要素があるので、特に外国語の場合は譜読みに骨が折れます。ともあれ、とりあえず譜面を見ながら指揮者の棒に合わせて演奏できるようになった段階を「譜読みができた」と言えばいいでしょうか。

そこから始まる、音楽を膨らませたり研ぎ澄ませたり、共演者と呼吸を合わせたりする作業には終わりがありませんが、例えばオーケストラなら、暗譜で演奏することはまずないので、本番まで譜面を見る前提で、音楽に集中できます。

が。楽器でもソリストや我々歌手は、宗教曲(聖書の言葉を自分の言葉のように語るのは不敬なので、そういう場合は譜面を見て歌います)などを除けば必ず、覚えなければなりません。「暗譜」ですね。

オペラなら、暗譜ができた上で立ち稽古にのぞみ、さらに今度は身体の動き(お芝居)の要素を加えて、全部が融合した段階で初めてお客様にお見せできるものになります。動きが暗譜を助けてくれたりもしますが。

さて、「秘密の結婚」は現在立ち稽古の真っ最中です。ということは、本来もう「暗譜」はクリアしていなければならない段階です。…なのに。私は稽古場でしょっちゅう台詞を忘れたり、アンサンブルの中で自分を見失ったり、出トチったり。

自慢じゃありませんが、私は暗譜が遅いのです。最近は「歳のせいか?」とも思うけど、どちらかと言えば昔から苦手。いや、ただ単に勉強が足りないだけなんですけどね。とほほ。

だから稽古場では、わからなくなると副指揮くんもしくはダブルキャストのミョンミ(暗譜が完璧で誰よりも頼りになる後輩)に目で助けを求め、プロンプしてもらっています。

たしかにミョンミは私より若いけど、でもどうしてそんなに暗譜が完璧なのか、本人に訊いてみたところ、「私譜読みがめちゃくちゃ遅くて、ピアノを叩きながらえんえん練習して、歌えるようになった頃には覚えちゃってるの」。

な、なるほど。またまた自慢じゃありませんが、私は譜読みだけはめちゃくちゃ速いんです。言葉が分かる日本語かイタリア語のものなら、初見でもかなり歌えてしまいます。「譜読みの速さと暗譜の速さは反比例する」ということにはこれまでも薄々気がついていましたが、やや、やっぱり。真実かもしれません。

つまり、私のような譜読みの速いタイプは、とりあえず譜面を見れば歌えちゃうので油断するんですね。「ウサギとカメ」のウサギみたいに。譜面を見てもそうすぐには歌えないミョンミのようなタイプの人は、そこで必死の努力をするのでしょう。

そいでウサギ型の私が昼寝なんかしているうちに、カメ型のミョンミはすっかり暗譜してしまい、立ち稽古に入ると完全に水を空けられてしまっているわけです。うう。

私が昼寝なんかしてたからいけないんですよね。ゴールは同じなんだから、譜読みでうんと苦労するか、暗譜でうんと苦労するかの違いだけ。少々出遅れましたが、今が私の頑張りどころです!


 
  • コメント(全3件)
  • Moon rose 
    9/14 00:03

    大変だけど両方頑張ってね!うさぎとカメの良いところを習得すれば益々光輝きますね
  • 美夜 
    9/14 00:24

    わたしもウサギです


    譜読みはわりと楽にできるけど、暗譜は気合い入れて取り掛からないとさっぱりできません


    暗譜する機会が滅多にないので、必要に迫られると「ちょっと待っ
    」という感じになります(笑)

    気合い入れてがんばってください(笑)

  • Kaiser 
    9/14 09:39





    まぁ大体、


    スッと覚えた事


    スッと忘れますょね!


    脳の記憶の仕組からして


    然う成ってるんでしょう!!
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