ナポリの郵便局にて

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今回の旅行の最後の滞在地ナポリから、帰りのスーツケースを軽くするため(またはお土産をたくさん買えるように)小包を一つ送ったのですが、それが3日ほど前に届きました。送ってから2週間足らずで着きました。

ナポリの郵便局に行ったのは、8月16日のこと。イタリアの郵便局は午前中しか開かないところが多くてだいたい混むのですが、加えて8月15日は休日(終戦記念日、ではなく聖母被昇天の日というキリスト教の祝日です)だったため、翌朝の郵便局にはたくさんの人々が詰めかけていました。

イタリアの郵便局も本来は日本と同じように、郵便業務と銀行?業務の窓口が分かれていて、それぞれ自分の用事のある方の整理券をもらって番号が呼ばれるのを待つシステムになっているのですが、この日は、というかここの郵便局では、窓口が2つだけ開いていて、整理券が出る機械は動いておらず、全部のお客さんが一緒くたに列を作っていました。

どう見ても奥でひまそうにしているおばさんがいるのに。他にも一人、いかにも忙しそうに書き物をしているおばさんもいるけど、その仕事はお客さんの来ない午後にできるんじゃなかろうか。まぁ、そこはイタリアなのでこういうことに腹を立てているときりがありません。

ともかく左の窓口には眼鏡をかけたおじさんがいて、右の窓口にはブルーのマニキュアをした若い女の子がいて、切手を買いに来た人も電気代を払いに来た人も日本へ小包を送りたい私も、辛抱強く一列に並んで待っていました。

中には一人、立って並ぶのが嫌なおばさんがいて、列から離れて椅子に座っているんだけど、新しいお客さんが来るたびに「私はそこに座ってるけど、順番はあのシニョーレの次だから。そうよねシニョーレ、私あなたの次よね。」といちいち言いに行っていました。並んでるよりそっちの方が面倒なんじゃぁ…。

小一時間(言い過ぎ?)ほどして私の順番がまわってきました。眼鏡のおじさんの方に当たりました。日本に小包を送りたい、と言うと、「航空便にする?船便にする?」と訊かれました。「航空便だと2週間、船便だと2ヶ月」。

私の経験では、航空便なら1週間で着くし、それに航空便か船便かの二択ではなく、その中間みたいな(とりあえず空港に運ばれて、航空便の荷物よりは後まわしにされるけど飛行機に空きスペースができたら載せてもらえる)、スーペルフィーチという(日本で言うSAL便?)方法があるはずなのです。

「あの、スーペルフィーチで送りたいんですけど」「それは船便になるから、2ヶ月かかるよ」。ここで外野が騒ぎ始めました。お客さんはみんな待ちくたびれててひまなのです。

「スーペルフィーチって言ったら電車だろ」「日本まで電車で行けるのかな」「でも船じゃないんじゃないの」「じゃ飛行機か?」「いやそれは…」

眼鏡のおじさんが「無知な庶民たちよ、教えて進ぜよう」という調子で言いました。「シニョリーナ、ジャッポーネはイゾラ(島)だからね。シチリアみたいに。だからスーペルフィーチで送ると船に載せられるんだよ」。

これでナポリの皆さんは「おお、ジャッポーネはイゾラだったか。納得」という感じになって黙りましたが、私は信じませんでした。今まで何度も「スーペルフィーチ」で荷物を送ったけど、2ヶ月もかかったことは一度もありません。船なわけはない。

おじさんが日本を中国の一部じゃなくて島だと知っててくれただけでも上出来ですが、「スーペルフィーチ=船」という情報は眉唾で聞くことにして、とにかくスーペルフィーチ便で荷物を送ったのでした。

それが決まった後も、国際小包を送るには、荷物の重さを計ったり中身の品物やその値段を申告したり、「売り物ではありません」というサインをしたり、色々と手続きがあります。

スーペルフィーチ論争で一瞬ひまつぶしができたお客さんたちでしたが、東洋人の小娘の用事にやたらと時間がかかるのでだんだんイライラし始めて、列を飛び出して「私のはすぐ終わるんだけど」と窓口にやってくるおばさんも現れました。

眼鏡のおじさんは、「私は今遠い東洋のジャッポーネに小包を送るというたいへん重要な任務にあたっておるのだ、君らの年金だか水道代だかの些末な用事とは違うのだ」という態度(私の印象です)で、ことさら丁寧に私の荷物を処理してくれ、帰りがけには「皆さん待たせてごめんね」と私が謝りたいくらいでした。

で、結果はやっぱり、荷物は2週間弱で到着。おじさん、ジャッポーネはイゾラだから、スーペルフィーチで送ると飛行機に載せてもらえるみたいよ。