のんびりカラカラ

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私がローマに住んでいたのは10月から3月までの半年間だったので、オペラ座は開いており、夏のカラカラ浴場での公演を体験するのは今回が初めてでした。

夏の野外オペラと言えば、イタリアでは何と言ってもヴェローナのアレーナが有名です。2ヶ月以上にわたって公演が続き、演目も毎年5、6本あり、オペラ以外にコンサートもおこなわれます。

私も留学中をふくめ4回、アレーナでオペラを見ました。2万人も入るという古代円形劇場がいつもいっぱいになり、世界中からお客さんの集まる一大音楽祭です。

それにくらべると、ローマのカラカラ浴場の公演は毎年3演目程度と規模は小さめ。でも私は完全にヴェローナのあの感じをイメージして、わくわくしつつ会場へ向かいました。

カラカラ浴場って行くのすら初めてだったのですが、ちょっと不便な場所にあります。そしてまわりにレストランやバールが全然ない。ヴェローナだとアレーナのまわりには「オペラの後も開いてるよ」という看板を出したお店が無数にあって、オペラの前も後も食事をする場所には困りません。ここではオペラの後みんなどこで飲むんだろう?

会場の中に入ってみてさらに驚きました。古代浴場跡ってどんな形をしているのか知りませんが、私はてっきり、アレーナみたいに(たびたび較べて申し訳ないけど)その遺跡の中に舞台と客席を作ってオペラをやるのかと思っていました。

が、そうではなくて(たぶんコロッセオみたいに地下も遺跡でそれができないのでしょう)浴場の外の空き地?に舞台と客席が作ってあるんですね。客席から見ると、カラカラ浴場(の外観)をバックにオペラが繰り広げられる、という図になります。

客席数も、見たところ2,000ぐらいでしょうか。松の木の間からぽっかり月が出てきたりして、夕暮れの景色はなかなか素敵ですが、どことなくアットホームな雰囲気です。

演奏が始まると、アットホーム感はさらに増しました(笑)。私がわりと後ろの方に座っていたせいもありますが、生の音はほとんど聞こえず、あからさまなスピーカー音(笑)。要するにただの野っ原でやっているんだから、当たり前だけど。

ヴェローナのアレーナでピアニッシモをマイクなしで全部のお客さんに聞かせた最後のソプラノ、と自負していたジェノヴァのマエストラ・マラリアーノは、最近ではアレーナでもみんなマイクを使うのよ、と嘆いて(自分は使わなかった、という半分自慢)いましたが。

まぁあれだけ巨大なんだから少しはどこかにマイクが仕込んであっても不思議はないけど、それでもアレーナはちゃんと音の響くすり鉢型の構造だし、端っこの方に座った時も「生の音楽を聞いている」満足感はありました。

カラカラ浴場でそれを得るためには、かなり前の方の席を取る必要があると思います。うーん、前の方ならいいのか?わかりませんが。

さて、来ているお客さんも、半分くらいは地元の人のようでした。あとは特にオペラファンというわけでもないけど、ローマに来たら野外オペラがあるというので見てみようかな、という感じの観光客。もっと団体旅行っぽい観光客。

地元の人たちは近くに停めた車でさっさと帰っちゃうし、団体はバスで帰るし、オペラの後で飲めるバールを作ってもあまり繁盛しないのかなぁ。残念。私は、まだ時差ぼけで眠かったのでてくてく歩いてホテルに帰りました。

ヴェローナでは、毎年夏にオペラを見に来ているというドイツ人やオランダ人のご夫婦なんかに出会いましたが、その手のお客さんはカラカラにはあまりいないみたいですね。これを目的に夏にローマに来るほどの価値はありません(笑)。夏のイタリアでオペラを見るならヴェローナに行きましょう。ローマでオペラを見るなら劇場が開いている時期にしましょう。

でもオペラはともかく、のどかな雰囲気はとても楽しめました。夏の夜の野外は文句なく気持ちいいので、ビール飲みながら見ていいならまた行きたいかな。