エンターテイナー魂

今夜は、表参道にあるカワイ楽器のサロンへ、二期会主催のサロンコンサートを聞きに行ってきました。

出演はバリトンの大御所、加賀清孝さんと、ソプラノの高橋知子さん。知子さんと私は長いこと仲良くさせていただいていて、昨年は「ヴェルディのヒロイン達」というコンサートで共演しました。

そんなご縁で今日は、知子さんの歌を楽しみに、演奏会に足を運んだのですが、最終的には、知子さんはもっちろん歌も色っぽい舞台姿もとびっきり素敵でしたが、加賀清孝さんにもすっかり魅せられてしまい、大ファンになって帰ってきました。

加賀さんは、もちろんオペラ界で知らぬ者はいない大先輩なので、これまでにも何度かオペラやオペレッタの舞台を拝見したことはありましたが、より素顔が垣間見られる?演奏会を聞いたのは初めてでした。

まず、トークがべらぼうにうまい(笑)。それから選曲が完全に「お客さん目線」。舞台上でも身体の無駄な力が抜けていて、津川雅彦さんが言うところの「操り人形」の域に達している感じ。

極めつけは、プログラムの前半で彼が歌って喝采をさらった「あんこまパンの歌(林望さん作詞の、あろうことかあんことマヨネーズをはさんだパンのレシピをえんえん語る歌)」の、そのあんこまパンを、休憩時間にお客さん全員にふるまう!という、粋すぎるサービス。

「エンターテイナー」とよく言うけれど、「エンターテイン」って、辞書を引くと「人を楽しませる」と同時に「もてなす」と出るんですよね。それを思い出させてくれる、今夜の演奏会でした。

本当に、同業者であることを忘れて一お客として心から楽しめる、素晴らしい夜でした。クラシックの演奏家というのは、ある意味ではみんなオタクなので(笑)、知れば知るほど深く感動的な、アカデミックな曲を歌ってみたい、紹介したい!という思いはみんな持っています。

そういう演奏会も私は大好きだし、芸術的意義も深いと思います。が、お金を払って会場に足を運ぶお客さんの多くはオタクではないわけです。

演奏家として音楽界に実力を問うような、アカデミックな勝負リサイタルのようなものも、私もいつかやる日がくるかもしれませんが、今夜は加賀さんと知子さんの「おもてなしの心」にすっかり感激してしまいました。

真似したいなぁ。正直なところ、マニアではない普通のお客様が肩の力を抜いて楽しめるエンターテインメントを追求しない限り、「日本でオペラをメジャーに」の夢は実現しないと思うから。



 
  • コメント(全1件)
  • 美夜 
    6/15 01:41

    あんこまパンの歌を聴いて「どんな味?」とみんな考えるでしょうけど、そこにすかさず実物をふるまわれるとは誰も思いませんよね


    そういう発想力を持っている人がエンターテイナーなんでしょうね

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