役者の重心

以前、津川雅彦さんがテレビで「役者さんの重心」について話しているのを見たことがあります。

曰く、若い役者さんは肩に力が入っていてそこで体を支えている。それが年齢を重ねたり修行を積んだりしていくと、重心は胸に下り、腹に下り、鼠蹊部に下り、膝に下りていく。が、最終的にその道を極めると、重心は頭の上にポンと出るのだそうです

つまり、自分で自分をコントロールしようと躍起になる域を超えて、操り人形のように、お芝居の神様か誰かに突き動かされるように自由になれるということ。

役者ではないものの、舞台人のはしくれの私としては、いつの日かその域にたどり着いてみたいものですが、今のところは長い長い修行の途中です。

今の私の重心は、胸から下りてきて腹にたどり着きそうな、なんとかそこまで持ってこようと必死になっている、という段階でしょうか。

腹というのはお臍の10センチぐらい?下の「丹田」という場所あたり。「腹から声を出せ」って普通に言われる言葉だし、歌の勉強を始めた時から、お腹の使い方はずっと教わってきました。

「お腹で支える」は、歌手なら耳にタコができるほど教わっていることですが、これがやってるつもりでなかなかできないんですよね。

最近思うことは、若い時は体が硬く(言い方を変えれば張りがある?)、体じゅうに真綿が詰まっているような感じでした。だから、未熟ながらも何かしらの支えがあり、お腹を意識するのは難しい。それが若いならではの声の輝きや、動きの瑞々しさを作っていた部分もあるかもしれませんが。

でも、修行の成果かただ歳をとっただけかは分かりませんが、年月とともに詰まった真綿が取れて、体はより柔らかく、空洞に近く感じられるようになり、声が出ている部分と下腹部とが直接につながるようになったような気がします。

逆に言うと、詰まった真綿のおかげで何だか知らないけど歌えたものが、意識してお腹で支えなければ歌えない体に変化していくのではないかと。

最近このブログにも書いた技術の「開眼」もこれに関連するのですが、言葉で説明するのは難しいですね。今の自分の体の状態を把握しつつ、重心をまずはしっかり丹田に据えて、本当の意味で「腹から声を出せ」るように訓練したいです。

いつかは津川さんの言うように、重心が膝まで下りるかなぁ。鼠蹊部ぐらいまでは想像できなくもないけど、楽しみです。







 
  • コメント(全1件)
  • Moon rose 
    6/4 23:59

    頑張ってください!NHKにでていたモアイ像などの世界遺産の修繕している石工さんが言っていたとおもいます!無駄なようなことでも繰り返し練習することが大事だと!上手くなると基本がなくなって要領に走ってしまうことでしょうか?石工さんの仕事は一見無駄なように見えますが素晴らしい仕事に思えました!そこには人格も兼ね備えていると思いました!
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