マイク出てこない事件

  • 川越塔子 公式ブログ/マイク出てこない事件 画像1
先日のリサイタルでのハプニングです。

今回は前半がイタリアオペラのアリア、後半が「夕鶴」のハイライト、というプログラムでした。前半では曲の合間にお客様へのご挨拶や曲の紹介などを喋ろうと思っていたので、事前にホールの方にMC用のマイクを用意してもらうようお願いしてありました。

一方、後半の「夕鶴」はドラマ仕立てにしてあったので、もともとMCをする予定はありませんでした。

当日朝のリハーサルでは、照明の段取りを細かく合わせる必要があったので、後半の「夕鶴」を中心に流れを確認したのですが、おそらくその途中でホールの係の方に「マイクは使いますか?」と訊かれたんですよね。

その時ホールの方が「後半は」とおっしゃったかどうか分かりませんが、私は勝手に「(前半は使うけど)後半では」というつもりで「使いません」と答えてしまいました

結果、前半でもマイクが用意されなかったんですよね。1曲目を歌い終え、おもむろに「皆様こんにちは!」と挨拶を始めようとしたところ、マイクがない。一瞬、戸惑いましたが、下手の舞台袖に向かって呼びかけてみました。「マイクお願いしまーす」。

…しーん。仕方がないので、マイクなしで喋ってみました。「皆様こんにちはー!本日はお忙しいなか、云々かんぬん。」一通りご挨拶したところで、再チャレンジ。「マイク、まだですかー!」。

またまた、しーん。お客様がクスクス笑ってくださったので救われましたが、結局1曲目と2曲目の間のMCではマイクは登場せず、発声練習を兼ねて 生声で喋ることになりました。

後で聞いたら、私の呼びかけはもちろん聞こえていたものの、ステージ上で出演者が喋っている、すなわち本番中に舞台へ出ていくのはステマネの美学に反するのだそうで、私が2曲目を歌い終えて袖に引っ込んだタイミングでマイクが用意されたのでした。

まぁ、大したことではないしお客様も笑ってくださったので良かったけど、こっちは声がなくなっちゃったら話にならないわけだし、美学はさておきササッとマイクを持って出てきてくれたらよかったにー!と、思わないでもありませんが。

でも、この王子ホールのステマネさんには、実は去年借りがある ので、文句は言えないんです(笑)。

去年のリサイタルでは、後半に一度着替えがあって、テノールがアリアを歌っている4分ほどの間に、背中が小さい無数のボタンで留まっているドレスを脱いで別のドレスを着なければならなかったので、マネージャーに必ず楽屋で待っているように頼んであったのでした。

それを、忘れたんですねー、マネージャーちゃん。私は半狂乱になって、「誰かー 」と呼びつつ楽屋のドアを開け放って着替えを始めました。

結局、最終的に着替えを手伝ってくれたのが、件のステマネさんでした。そんなの全然、彼の仕事じゃないのに。いやはや、お世話になりました。

本番にはアクシデントが付き物です。それも生の舞台の醍醐味、ってことで、お客様にも楽しんでいただけると嬉しいな。