なんと…

  • 川越塔子 公式ブログ/なんと… 画像1
私の歌手人生でこの役を演じる機会をいただけるとは想像だにしませんでしたが、念ずれば通ず、なのでしょうか?来年、もちろん初めて、プッチーニのオペラ「蝶々夫人」に挑戦することになりました。

日本人のソプラノなら誰でも、「蝶々さん歌い」を夢見るものです。私もその一人ですが、この役は、特に悲劇的になっていく2幕・3幕ではドラマティックな表現力を必要とするため、ソプラノ・リリコ、場合によってはスピントと呼ばれるような、比較的重く、低音域の響きの充実したソプラノが演じることが多いです。

リリコよりも軽いリリコ・レッジェーロと分類できる私の声では、蝶々さんを演じるのは夢のまた夢、と特に若い頃にはそう思っていました。

でも。イタリアに留学して少し考えが変わりました。プッチーニさんご本人と一緒に仕事をしていたピアニストに教えを受けた私の師匠は、蝶々さんはたった15歳の女の子であることを忘れてはならない、といつも言っていました。

終幕に至っても18歳。音楽は確かにドラマティックであるけれど、楽譜をよく見るとp(ピアノ、弱音)の記号がこれでもかと書いてあります。立派な声のソプラノが歌うのを聞き慣れて、プッチーニはピアノを要求していたのだということを皆忘れてしまっているのだと。

だから本来はリリコ・レッジェーロのソプラノにも十分演じられる役なのだと教わりました。イタリアでは何人か別の先生からも、もちろん私が日本人だからというのもありますが、ぜひ蝶々さんをレパートリーにするよう勧められました。

そんなわけで、いつか歌えたらなぁ、と思うようにはなりましたが、まさかこんなに早く実現しちゃうとは。いささか慌てましたが。

本番までまだ1年以上。9月のオペラがなくなったこともあって、時間のある今のうちに一度、腰を据えて蝶々さんを勉強してみようと思い、今日からコレペティトールの横山修司先生のところに通い始めました。

まずは、この大役を歌い通すための体力ですね(笑)。本当に、出ずっぱりなんです。「フィガロの結婚」のスザンナも出ずっぱりだけど、声を張っている割合からすると、蝶々さんの圧勝。

まだまだ全然手に負えていませんが、夢にまで見た蝶々さん。頑張ります!