ナブッコ

  • 川越塔子 公式ブログ/ナブッコ 画像1
貴重な稽古のオフ日、上野の東京文化会館へ、東京二期会のオペラ公演、ヴェルディ作曲の「ナブッコ」を見に行ってきました。

「ナブッコ」と言えば、私にとっては去年の夏、アレーナ・ディ・ヴェローナで、雨による中断をはさみながら、時差ぼけと闘いつつ見たのが思い出深いですが、今回は、ダニエレ・アバド(マエストロ・クラウディオ・アバドの息子さんです)演出、パルマ王立劇場の舞台装置と衣裳による上演でした。

もうひとつの目玉は、指揮をしたアンドレア・バッティストーニ氏。「トスカニーニの再来」と言われ、今イタリアで飛ぶ鳥を落とす勢いのマエストロだそうですが、なんと、1987年生まれの24歳です。

キャストも比較的若い歌手が多かったですが、「ナブッコ」はヴェルディの3作め、28歳の時の作品です。そのヴェルディの勢いのようなものに、マエストロ・バッティストーニの若いエネルギーがぴたりと寄り添って、躍動感溢れる素晴らしい音楽が出来上がっていました。

その、若さ溢れるマエストロの動き。1階席に座っていた私からも、やたらとよく見えたんですよね。普通、オーケストラ・ピットで棒を振る指揮者の姿って、客席から見えるのは頭(と、振り上げた棒や手)だけ。だけど今日のマエストロ・バッティストーニは背中半分から上ぐらい、全部見えていました。

オーケストラ・ピットが仮設で浅くしか作れない場合にそうなることもありますが、まさか東京文化会館でそんなはずはありませんよね。出演していた友人に確認してみたところ、客席からマエストロがよく見えるように、指揮台を少々高く「盛って」あったんだそうです。

そういうことをなさる指揮者、ほかにも一人、噂に聞いたことがあります。世界のマエストロ・オザワです。日本のお客は歌手よりもマエストロ・オザワの指揮を見たくてチケットを買うわけなので、お客に対するひとつのサービスですね。

今回、マエストロ・バッティストーニご本人が希望してそうなったのか、二期会の意向によるものかは分かりませんが、確かにパフォーマンスがよく見えることによって、マエストロの若さや溌剌とした音楽の運びは、客席に伝わりやすくなっていたかもしれません。最前列中央に座ったお客さんは可哀相だけど。

さて。ちょうど2週間後の3月3日、同じ東京文化会館の大ホールで、同じく都民芸術フェスティバルの参加公演として初日を迎えるのが、我々藤原歌劇団の「フィガロの結婚」です。

あちらのマエストロは24歳、こちらのマエストロは83歳。対照的な公演になりそうですが、今日の二期会の「ナブッコ」にパワーをいただいて、私たちも素晴らしい舞台を作りたいものです。

マエストロ・ゼッダは小柄なので、今日ぐらいマエストロの姿をお客様にお見せしようとすると、指揮台が高くなりすぎてちょっと危険かもしれません(笑)。

よって、姿は見えずとも、マエストロの棒に導かれた私たち歌手と東京フィルの作り出す音楽で、お客様に納得していただけるよう、気合いを入れ直してあと2週間、稽古に励みます。どうぞお楽しみに!