男の仕事

  • 川越塔子 公式ブログ/男の仕事 画像1
2月5日に出演させていただく日本舞踊の会「朱音会【あかねかい】」の下ざらいをしてきました。

私が踊るのは「藤娘」。「藤娘」はもともと大津絵の「かつぎ娘」(藤尽くしの柄の着物を着て塗り笠を被り、藤の枝をかついだ娘の絵)から題を取った歌舞伎舞踊です

江戸時代の初演の時は、絵から出てきた娘が踊るという趣向だったらしいですが、後に六代目の尾上菊五郎さんが「娘の姿をした藤の精が踊る」という演出をしたそうで、現在は歌舞伎でも日本舞踊でも、それが一般的になっています。

さて写真の私の姿、おばあちゃんの家かどこかで同じ姿のお人形を見たことありませんか(笑)?これが、最初にパッと明かりが点いた時、舞台にあらわれる藤娘の姿です。

いくつかのバージョンがあるみたいですが、今回は、この姿で藤をかついで「プロローグ」のようなものを踊った後、枝と笠と草履を取って、脱いだ片肌を着て手ぬぐいを持ち、本編(!?男心のー、憎いーのーはー♪)を踊ります。

それが終わると舞台袖ですっかり着替えをして、藤色(やっぱり柄も藤尽くし)の着物に黒い帯でお扇子を持って、色っぽい「藤音頭」。さらに肌脱ぎして、アップテンポの手踊り「松を植よなら」。

最後、再び藤をかついで草履を履いて、短い「エピローグ」(藤娘、以上でしたー、みたいな『まとめ』のような感じ)をやって幕、となります。

たぶん全部で20分ほどの演目ですが、なんと言っても着物にも帯にも襦袢にもたーっぷり刺繍がしてあって、オペラではめったにない金型のかつら+笠、藤の枝は「物干し竿」ぐらいの重さ。

素人の私なりには一生懸命お稽古してきたし、「言っとくけど最初から最後まで衣裳は重いからね」と先生からも伺って、覚悟してきたつもりでした。

が、噂には聞いていたものの、本当ーに衣裳が重くて(一生の思い出になるぐらい美しいんですけどね)、本来あるべき間合いで動けない(涙)。

つくづく、歌舞伎は男の仕事である、と思ってしまいましたよ。伝統とか男尊女卑とか(も、もちろんあったかもしれないけど)ではなく、あの扮装をした上で満足に芸を披露するには、高い基礎的身体能力が必要です。

いや、一世一代の「藤娘」、衣裳やかつらに負けて弱気にならないよう、どんな時も開き直るプリマドンナ魂を発揮して、頑張るぞー。