玉サマ、ふたたび

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昨日のオペラで自分の中にある魂を出し尽くしてしまった感があるので、充電のため(?)ル・テアトル銀座へ、坂東玉三郎さんの新春特別公演を見に行ってきました。

演目は、玉三郎さんによるお年賀の口上があった後、義大夫の「妹背山婦女庭訓(いもせやまおんなていきん)」から、「道行恋苧環(みちゆきこいのおだまき)」と「三笠山御殿」でした。

1月も下旬になって、すっかりお正月気分は抜けていましたが、劇場に一歩入るとロビーに「龍」の字の書かれた大きな凧が飾ってあって、華やかなお正月ムード全開でした。開演前に客席に獅子舞まで登場しました。

口上で玉三郎さんご本人もおっしゃっていましたが、日本が震災におそわれた今、劇場に足を運んだ人々が一時でも現実を忘れられるように、という玉三郎さんの心遣いが劇場の隅々にまで溢れていて、そのことにも感動しました。

玉三郎さん演じるお三輪が嫉妬に狂って髪を振り乱す見せ場や、苧環(おだまき、柄のついた糸巻き)を抱いて息絶える幕切れは、危機迫ってもちろん素晴らしかったです。

が、お三輪が男の人をめぐって橘姫とやり合う場面や、官女たちにいじめられる場面などで、本当に玉三郎さんが「庶民の出の素朴で可愛い娘」に見えて、「この方は還暦を過ぎた男の人なんだよなぁ」とたまに思い出すと、本当に信じられない思いでした。奇跡のよう。

藤間勘右衛門さん(私もお稽古させていただいている、藤間流勘右衛門派のお家元)でもある尾上松緑さんの鱶七(ふかしち)も、男らしい豪快な見せ場がたくさんあって素晴らしかったです。

あと今日は、私の隣の席に、歌舞伎には付き物の「○○屋!」の掛け声をかけまくるおじさん(あの人は誰だったんだろう…サクラじゃないよね)が座っていて、うるさくもありましたが少し勉強にもなりました(笑)。

思わず数えてしまったのですが、今日おじさんが玉三郎さんの屋号「大和屋!」を叫んだのは21回。松緑さんには「音羽屋!」のほかに「四代目!」「紀尾井町(ご自宅のある場所らしい)!」という掛け声も。

やっぱり見栄を切るような瞬間や、花道を出入りするようなタイミングですかさず「大和屋!」と言わなきゃいけないみたいです。

オペラの劇場にも「ブラボーおじさん」みたいな人が現れることがあるけど、オペラのブラボーよりも歌舞伎の「○○屋!」の方が、間合いに熟練を要する気がするなぁ