ガン見…

12月9日に金沢歌劇座で初日を迎える(ちなみに東京公演は来年1月22日、新国立劇場中劇場にて)池辺晋一郎さんの新作オペラ「高野聖」、ただいま立ち稽古の真っ最中です。

何となく(曖昧…)暗譜ができてきて、これから面白くなる(同時に苦しみも始まる)というところでしょうか。

前にも書きましたが、オペラで音楽を取り仕切るのは指揮者です。歌手は目の前の相手役に愛を語りながらも、片時も指揮者から目を離さず、棒に合わせて歌うわけですね。

音大の授業で初めてオペラを体験した時、そんなことは不可能だと思いました。

一生懸命お芝居しているつもりで、一瞬でも棒とずれると「見ろ!」と怒鳴られる。指揮者がコワイので棒を注視すると「芝居が成立してない!」と、もっとコワイ演出家に怒鳴られる。

ほかの歌手がどうなのかは知りませんが、私はそれで本当に苦労しました。

いったいプロの人はどうしているんだろう、とDVD(嘘です。私が学生の頃だから、幻のレーザーディスクですね)を見てみるものの、プロの歌手はごくごく自然にお芝居しているので、映像を見てもどうやって指揮者を見ているのか分からないんですよね。

結論から言うと、人間の視界は片目で150度あるのだそうで、お芝居をしつつも視界のどこかに棒をとらえ続ける、というのは可能です。オペラをやりたければそれを身につけなければならないわけですが、私は不器用なのか、いまだに苦手…。

特に今は、何となく暗譜できたと言っても、三拍子と四拍子が入り混じる音楽の中で、歌い出しが二拍目だったか三拍目だったか、伸ばす音が何拍だったか、指揮者のガイドがなければまだ絶対に歌えないレベルです。

というわけで、今のところ、立ち稽古につき合ってくれている副指揮ちゃんを「ガン見」(笑)。

時には助けを求めてすがる目で、時には「ちゃんと合図出してよ」と脅す(!?)目で。ほんと、頭が上がりません。あー、たくさん稽古して早く自由になりたいです。