反復練習の落とし穴

昨日「ニュースステーション」を見ていたら、ハンマー投げの室伏広治選手が、「年齢を重ねても勝つためのトレーニング方法」について語っていました。

室伏選手と言えば、今年の世界陸上で優勝し、男子の金メダリストの大会最年長記録を更新しましたよね。テレビで見ていて本当に嬉しかったです。

なんで私が嬉しいのかと言うと、そう、室伏選手と私は同い年だからです。野球で言えば松井秀喜選手、SMAPで言えば草なぎ君の年です。…どうでもいい?

で、室伏選手曰く。筋肉そのものや関節の可動域などは、25歳頃をピークに衰えていく、それは当然で、避けられないこと。でも、関節も筋肉も、動かす指令を出しているのは脳で、脳からの指令の出し方は30歳を過ぎても成長の余地がある。

だから、脳がより正しく効率的な指令を出せるようにトレーニングをすることと、筋肉や関節は、疲労や摩耗を極力避けながらトレーニングすること、を徹底しているのだそうです。

これは、室伏選手自身が30歳を過ぎて、前と同じように練習していても結果が出ず、怪我をしやすくなってしまった時に、試行錯誤してたどり着いた方法なのだそうです。その結果があの世界陸上での金メダル。あっぱれ!

特に、年齢を重ねてからは「反復練習」が落とし穴だと室伏選手は語っていました。

やり始めは100パーセント正しい動きができていたとしても、繰り返し繰り返し同じことをしているうちに、ほんの少しずつズレてくる。するとそのズレた動きを脳が覚えてしまうし、しかも筋肉は無駄に疲労し、関節は摩耗する。

それを避けるために、室伏選手は細心の注意を払って、反復練習がただの反復にならないよう、工夫しているのだそうです。

な、なるほどー!「同じ動きを繰り返しているうちにズレてくる」感じ、ハンマー投げと歌じゃ全然違うかもしれないけど、でも分かる!気がします。「コレだ!」という声が出た時のやり方をしつこく反復練習していると、いつしか同じことをしているつもりなのに同じ声が出なくなってしまうこと、あります。

歌手も肉体労働とはいえ、一般に、オペラ歌手の全盛期は40歳から50歳、と言われることからすると、筋肉そのものの力よりは脳や心の機微といったものが物を言うのでしょう。

でも、「全盛期」の40歳にまだ手が届かない私でも、間違った方法で声を出してしまった時の喉への負担とか、声帯の疲労が回復するのにかかる時間とか、20代の頃との違いを感じることはあります。

筋肉をギリギリまで酷使する陸上選手と我々歌手を同じにしては失礼だけど、でも尊敬すべき同級生に教えを乞うて、私も反復練習の落とし穴には気をつけたいです。