アントニーノ・シラグーザ!

今日は、新国立劇場オペラパレスにて、我らが藤原歌劇団の「セヴィリアの理髪師」を見てきました。

藤原歌劇団は2003年から定期的にロッシーニのオペラを上演していて、今回の「セヴィリアの理髪師」はその7作品めになります。

指揮は、ロッシーニ研究の権威でペーザロ(ロッシーニの生地)のロッシーニ・フェスティバルでも芸術監督を務めている、アルベルト・ゼッダさん。

そして今回の目玉は、今ロッシーニを歌わせたら間違いなく世界一のテノール、アントニーノ・シラグーザ氏が参加したことでした。

「セヴィリアの理髪師」は、ロッシーニの喜劇オペラの最高傑作と言われていて、ロッシーニのオペラの中で、おそらく世界中で最も多く上演されている作品です。

それもそのはず、音楽的にも演劇的にも、素晴らしく完成度が高いです。私が言うまでもないけど。

今回は、マエストロ・ゼッダの監修のもと、よりロッシーニが書いたオリジナルに近い楽譜を採用しての上演だったので、「セヴィリアの理髪師」を何度も見て知っている人なら「おや?」と思うような、新鮮な部分も多くありました。

中でも圧巻だったのは、シラグーザ演じるアルマヴィーヴァ伯爵の、大詰めの大アリア。どういう理由か知りませんが、通常の上演ではカットされる場合が多く、私は初めて聞きました。

とても長くて難しい曲だということと、ドラマの進行上なくては話が通らない、というアリアではないので、通常はカットするのでしょうか。

でも、ロッシーニを歌うための完璧なテクニックと音楽性と、さらにこの役を世界中で演じてきた経験とを兼ね備えた、シラグーザのような歌手が演奏すると、まさに「セヴィリアの理髪師」の見どころはこのアリアだ!と言い切りたくなるような、素晴らしい曲でした。

シラグーザの芸術性に触発され、マエストロ・ゼッダの魔法の棒に導かれて、藤原歌劇団の日本人歌手の皆も素晴らしいパフォーマンスを見せていましたよ。

シラグーザに興味を持たれた方、残念ながら「セヴィリアの理髪師」は今日で最終日で、今回の来日での彼のリサイタルも終わってしまいましたが、なんとこの後、ボローニャ歌劇場の来日公演で、先日急逝したサルヴァトーレ・リチートラに代わってベッリーニ「清教徒」のアルトゥーロを演じることになったそうです。

9月24日(土)15:00開演、@東京文化会館です。引越公演なのでチケットがすごーく高い(今回の藤原歌劇団公演の3〜4倍)けど、何と言ってもこの「清教徒」のアルトゥーロは、超人的高音(楽譜に書かれているのは、あろうことかハイF!)で有名な役なので、シラグーザがどんな風に歌うか、とても興味深いですよね。ぜひチェックしてみてください。