言葉のない世界

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軽井沢国際音楽祭「MARO meets オルガン!!」の本番が無事に終わりました。

MAROさん、スゴかったです。日本一(いや世界一?)のオーケストラ、N響でコンサートマスターをしているくらいですから、日本一素晴らしいヴァイオリニスト、なわけですよね。分かってはいたんですが。

私の勝手な見立てだけど、MAROさんのスゴいところは、「音楽で言葉を語る」ところです。MAROさんだけではなく、今回共演したオルガンの山口さんとトロンボーンの新田さんもそうなのですが。

我々歌手は、もともと言葉のついた音楽を演奏するので、特にオペラは劇だし、感情を放出するのは容易なわけですね。逆に言うと、音楽的には台詞(言葉)に助けられているというか、甘えているというか。

そのことを普段は忘れがちなのですが(何せ演じることでいっぱいいっぱいで)、今回は「物言えぬ」楽器の方々とご一緒して、彼らの「音」との濃密な関わり方に圧倒されました。

彼らは、言葉のない音楽の世界でずっとずっと表現を続けてきて、言葉よりも雄弁に、音楽そのもので語る術を身につけています。

今回は私も、ラフマニノフの「ヴォカリーズ」をはじめ、「物言えぬ」に近い曲を演奏したこともあり、軽井沢に来てからの二日間、MAROさんのヴァイオリンの音、山口さんのオルガンの音、新田さんのトロンボーンの音を聞きながら、そのことについて考えずにはいられませんでした。

渾身の「ヴォカリーズ」は、気合いだけは伝わったようでたくさんのお客様に褒めていただきました。が、明日からはまたオペラ。言葉にはこだわっても甘えず、もっとプッチーニの音楽そのものに寄り添って演じられたら最高ですよね。

日頃、ピットに入った団体としてのオーケストラと共演する機会はあっても、その中の一人一人の演奏家と接する機会は少ないので、本当に貴重な経験でした。私を音楽祭に呼んでくれた横川芸術監督(実は遠い親戚)、MAROさん、山口さん、新田さん、皆様、ありがとう。再会する時には、言葉に頼らずとも語れる歌手になっていたいです。

夏の軽井沢はすごーく混んでるけど、でもやっぱり素敵でした。