レコ勉

「レコード勉強」の略です。たぶん。オペラにも新作は次々と生まれているので、できたてほやほやの作品を演奏することもありますが、大半は100年も200年も前に作られたもの。ありがたいことに過去の名演奏が録音として残っているわけですね。それを聞いて参考にする、というか、(多かれ少なかれ)真似しちゃう、ということです

レコ勉については、賛否両論あります。誰かの演奏を聞いて表面的に真似るのは恥ずべきこと、音楽家たるもの、作曲家の遺した楽譜とだけ向き合って自分の表現を見つけるべきだ、という考えももちろんあって、それはその通りだとも思います。

が、私が音大に入って最初に師事した先生は、「学ぶ」は「まねぶ」なのだから、どんどん聞いて真似しなさい、というおおらかな方でした。先生から教わった考え方は、我々は東洋人でありながら西洋音楽を志す者として、常にヨーロッパの音楽家に対する尊敬を忘れてはならない、というものでした。

つまり、昨日や今日西洋音楽を始めたばかりの、ナイフとフォークもキリスト教も体になじんでいない私たち日本人なのだから、四の五の言わずにヨーロッパの名歌手の真似から入りなさい、ということです。私はこの考えに深ーく感銘を受けたので、今も昔も断然レコ勉推奨派です。

舞台に立つようになった今では、お芝居のプランを練るときにもレコ勉が欠かせません。楽譜を見て「相手の台詞をこう受けて、次の台詞はこう言おう」とかなんとか考えても、実際に音を出してみると全然間尺が合わなかったりするので、繰り返し録音を聞いて「音楽を体に入れる」作業が私にとってはすごく大切です。暗譜のためもあるけど。

目下、7/11(月)のドニゼッティ・ガラコンサートに向けて「ドン・パスクワーレ」の二重唱をレコ勉中です。どこまでチャーミングに、コケティッシュに鬼嫁を演じられるか、楽しくなってきましたよー。