レパートリー

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本番前になると登場する、マエストロ・パスティネです。

オペラでは、声の種類や音色によって役柄が決まりますが、イタリアでは特に自分のレパートリーをしっかり決めて守り、少しでも自分に合わない役は引き受けない、という歌手が多くいます。

日本ではオペラの公演の数自体が少ないので、オファーのきた役を、ほんの少し自分のレパートリーとずれるから、という理由で断るというのはなかなか難しいです。

たとえばドニゼッティの「ルチア」というオペラ、主役のルチアは「狂乱の場」という長い長い見せ場があって、留学する前、私にとってはいつかやってみたい役でした。新国立劇場でこのルチア役の代役でスタンバイしていたこともあります(結局出番はなかったけどね)。

しかし、マエストロ・パスティネによれば、ルチアは「塔子が絶対にやってはいけない役」だそうです。理由は、私は精神が健康すぎて狂乱する要素が全然ないから。レパートリーというのは、声だけで決めるものでもないようです。トホホ。

では、どんな役が私に合うのかというと、マエストロ曰く理想的なのは、「ドン・パスクワーレ」のノリーナや「愛の妙薬」のアディーナ、といった、どちらかというと喜劇オペラに多く出てくる、すばしこくて賢く、コケティッシュな役柄。純情一途なヒロイン系ではないようです。

さて、明日初日を迎えるヴェルディの「リゴレット」のジルダという役は、イタリアでも演じたことがあるのですが、私がジルダを演じることについて、マエストロが言った一言。

Potrebbe andare.

「ま、なくもないかな。」っていう感じでしょうか。

マエストロー。そう言わず、どうぞ明日も見守っていてくださいませ。