芝居の工夫

一昨年、オペラの生き字引みたいな大、大、大御所の演出家先生と仕事をさせていただいた時に、口を酸っぱくして言われたのが、「役者(私は自分のことを歌手かと思ってたんだけど…)は芝居の工夫をしろ」ということでした。工夫。

若い頃からお世話になっている演出家I氏には、「稽古」と「練習」は違うものなのだと教わりました。一人でするのが練習。その中で芝居のアイディアを両手のバケツにいっぱい作ってから稽古場に来い、とよく言われました。

大御所先生の言う「工夫」と多分同じことだと思います。稽古場に行く以前に自分で試行錯誤することがいかに大切かということ。

未熟であればあるほど、切羽詰まって寝ずに考えても、なかなか両手のバケツいっぱいのアイディアは浮かばないものです。私はIさんと出会って10年以上経った今も、全然バケツがいっぱいにならなくて、オペラをやる時は毎回地獄を見る思いです。

でも最近は、バケツをいっぱいにしようと考え苦しみ抜くこと(工夫すること)自体が、少ーしずつ自分の引き出しを増やすことに気付いているので、ちょっとは「よしよし、今回も地獄を見てやろうじゃないの」と楽しめるようにもなってきました。

「リゴレット」の本番まであと二週間ほど。まだまだ芝居の工夫が必要です。いやもちろん声の工夫も。なんか少し焦っているかなぁ。腹をくくってもうひと頑張り!