1年前の私

  • 川越塔子 公式ブログ/1年前の私 画像1
我々歌い手のあいだで言われている格言?のひとつに、「身につけた技術をお客様の前で披露できるのは1年後」というのがあります。自分の練習やレッスン、稽古で新しく見つけた発声のテクニックや表現方法を完全に自分のものにして、お客様を前にして緊張した状態でも見せられるまでには1年かかる、ということです。とすると、つまり今お客様に見せることができるのは1年前の私、ということですよね。

今日は、新国立劇場の総監督(現在は指揮者の尾高忠明さんが務めていらっしゃいます)による試聴会、なるものに呼んでいただいて歌ってきました。試聴会、というのはオーディションの一種ですが、特定の演目の特定の役のためのオーディションというのとは違って、もっと漠然と、「どれどれ、今日本の若手歌手にはどんな人たちがいるのかな」という感じで、めぼしい歌手を呼んで得意な曲を歌わせる、というような会です。

もちろん劇場側としては、何年か先の演目を念頭に置いた上でキャストを探しているかもしれません。でもこちらにはそのようなことは知らされないので、私達はやみくもに、とりあえず自分の魅力が最大限発揮できるような曲を選んで、必死で歌うわけです。

日本のオペラの殿堂、1,800席の新国立劇場にたった3人のえらーいおじさん。そのステージに出て行って歌わなければならない、拍手のないオーディション。しかも何をアピールすべきなのかがはっきりしない。なかなか精神的には厳しいです。

で、今日の私の演奏はどうだったのかというと、このブログに数日前書いたとおり、最近の私はひとつ「開眼」したつもりでいるので、少々欲が出て、今までの私とは別人のような素晴らしい演奏ができるような気が、したりしていました。が、結果はやっぱり1年前の私、でした。

昨夜いい声が出るおまじないの牛肉もちゃんと食べたんだけどなー!これから1年努力を続けたら、来年はすごい演奏ができるに違いありません。頑張ります。