蜘蛛。


この八月から私の玄関先には二匹の蜘蛛が居候しています。

柄から考えて女郎蜘蛛か三番叟蜘蛛でしょうか。初めは一匹だったのですが、気が付いたら二匹目と脚の数本無くなった一匹目がいました。
一匹目は恐らく縄張り争いに敗けたようです。弱肉強食……恐ろしや。

別に名前を付け可愛がっていた訳でもありませんが、だからと言って追い立てる理由もなかったので、生来の虫好きも講じそのまま内と外の同居生活を続けていました。

家を出れば姿を確認し、家に入る前には挨拶をする。たまにいちびったり食事の様子を観察したり。その度に食物連鎖だの共に生きる命に勝手に共感したりして、なんとなく彼らは私の生活の一部になっていました。


そして一昨日。バイトに行く際いつものように巣を確認すると、二匹の蜘蛛はいなくなっていました。

帰宅時に再び確認しても姿はなく、2日経った今も帰って来る気配はありません。
相手は蜘蛛でしたけど、私にとっては同居人同然。一ヶ月以上その姿を目にして愛着もわいていたので、急なお別れに少し物悲しさを感じています。


しかし家主の居なくなった蜘蛛の巣は人の居ない民家の如し。生活臭がない所為か、今ではただのゴミにしか見えません。
もうしばらく様子を見て、戻って来なければ巣払いをしようと思います。



君達は今、どこにいますか?
私と出会ってくれた君達に、一方的な感謝と愛を。