『呑象』終了 

  • 伊藤俊彦 公式ブログ/『呑象』終了  画像1
劇団レッドフェイス『呑象』再演無事終了致しました。

ご来場くださった皆様、本当に、本当にありがとうございました!

写真は共に戦った志士たち。

全体写真がなかったので女性陣、ごめんなさい!


今回は再演。

再演って本当は好きじゃない。

よりいいものになるはずなのに

初演にやった時のエネルギーや想いが薄れてしまうような気がして。

よくも悪くも「慣れ」てしまって何か初演の時にがむしゃらに立ち向かった何かが欠けてしまう気がして・・・。

よほど思い入れがない限りやりたくはない。


『レ・ミゼラブル』というミュージカルで7年間同じ役を演じたとき

再演の度に何か前回とは違うことをやろうと必死になった時期がありました。

短い歌や自分のシーンで何かを表現しようとやっきになり

アイディアばかりが先行して一人で芝居をしている自分に気がつきました。

その時、歌(レミゼは全部歌なので)本来が持つメロディラインや共演者から感じる想いに自分を委ねた時

「やるべきことをやればいい」と素直に思えました。

それから「レ・ミゼラブル」という作品が自分にとって特別なものになっていきました。


今回の『呑象』もまた自分にとって特別な再演になりました。

もともと思い入れがあるだけにもう一度挑戦したいと思っていたし

もっともっと多くの人に観て欲しいと思ったし。

特に急遽の再演で加わった新しいメンバーたちの存在に僕ら前回同様のメンバーが刺激を受け、本当に一緒に戦えた気がする。

新メンバーは大変だったと思います。

再演だから、前にやった役者のイメージもあるし、ある程度は出来上がっているわけだから稽古は容赦なく進んでいく。

求められることは分かっていてもすぐには対応できない。

悩みながら苦しみながら声を枯らしながら必死に役を掴もうとする姿に

役者としての大事な何かを感じさせて貰った気がした。

前回のメンバーもまたそれに刺激され前にも増して「人間」が見えてくる。

上目線で大変失礼だけど本番の彼らは信頼できる仲間でした。

安心して何かを投げかけ委ねられる「人間達」がそこにいました。


不器用でも一生懸命であったり

危うさや不安と戦いながら必死に生きて

観る人によっては「くだらない」と思われてしまうことをやってても

そこにその人の本気が見えたり

そこからその人となりや想いが役を通して見えてくるというか

その人の等身大の魅力が伝わるというか

僕がレッドフェイスで芝居をするときにはいつもチャーミングで一生懸命な役者仲間に恵まれます。

さかさんとりこさんが描く人間像がそこにあるのかもしれません。

不思議と前回にも増してひと公演を終える度にどっと疲れが襲いました。

前回はがむしゃらだったけど、今回は仲間と共にもっと戦えた証拠だと感じています

観る人の賛否はあるかもしれませんがやはり僕にとっては改めて特別な作品になりました。

今回、福島から観に来てくれました知り合いがいました。

いろいろ状況を話してくれた中で突き刺さったのは

「福島はまた特別だから・・・。」

という言葉でした。

原発の影響です。

あまり外に出ることもしたくなく

きっと太陽の下で風を感じることもはばかられているんだと思うと

つらいです。

「こんな時に観劇なんてと思ったけど、外に出て、自分の好きな観劇をして元気になりたい」

と観にきてくださりました。


学生時代の友人も観に来てくれました。

彼女は結婚してアメリカに住んでいます。

こないだの震災の時も僕が東北であることを思い出し

心配してアメリカからメールをくれました。

大変な日本を遠いアメリカで思いながら

「自分は今の日本の『私たちの』一人になれていないのではないか」

と感じてどうしても一度戻りたいと日本に帰ってきたのだそうです。

たまたま自分が東京にいる週に『呑象』が再演!

「トシの挑戦を見届けたい」

と最後の最後に飛び込んでくれたのです!

「今この題材をやる事に関してためらった気持も判るけれど

観せてもらった私も、トシがブログで書いていたとおり、今だから書く

べき台本であり、今だからやるべき舞台だったと思うよ。」

と言ってくれました。

嬉しかったです。

初演の時にも同じようなことを言ってくれた友人やお客様がいました。

そういう人の言葉だけでもやるべき意味があったと感じられます。

僕のできることなんてほんのわずかなことで

直接的に何かの支援には繋がらないかもしれませんが

でも想いだけは届いて欲しいです。



「ひとりひとりの力はごくごく弱く

それはあまりにも小さなものではあるが

その笑顔を忘れず

皆が力

一つに合わせ助け合う時

この困難や不安は

時の魔法にかかり

やがてあらたな希望となって芽吹き始める

大丈夫

その心の中に決して沈まぬ太陽の光さえあれば

新時代の扉はやがてゆっくりと

そして大きく開く」


舞台ラストで僕が演じた高島嘉右衛門さんがいう言葉です。



困難な日々はまだまだ続いていますが

心からの笑顔にあふれ

太陽の下で自然のにおいと風を感じ

公園で子供たちと楽しく遊べる日が早く訪れますように。






 
  • コメント(全1件)
  • ぶよ 
    5/25 11:26

    やっぱり、伊藤さんは、深いです
    伊藤さんほどの、ベテランになればなるほど、再演の難しさを良くご存知ですよね。
    新しいメンバーをレベルアップするには、大変だったでしょうね。でも、前のメンバーの力を落とさない努力も、素晴らしい事だったと思います。

    また、お逢い出来る事を楽しみにしています。
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