来年の新春花形歌舞伎が…

そろそろ今年を振り返ってみましょう。
近いところでは、Twitter発の三角関係がありますが、それは前回問題点を書きましたので、少しさかのぼって市川海老蔵さんの事件。

酒席で暴行があり、被害届を出した海老蔵は謝罪会見を開き美しいお辞儀を見せましたが、先に海老蔵から暴行を受けたといっていた側は被害届を提出せず示談を求める方向とも、自作自演の可能性があるともいわれています。

本件をめぐって巷はかしましい。

いわく、海老蔵がふだんから素行を取りざたされるのは父親團十郎の放任がすぎたからではないか、海老蔵は思い上がっているのではないか、愚連隊との交際が問題ではないか、いや、そもそも警察へ通報した妻 麻央の対応が間違いであり梨園の妻としてふさわしくないと思われる等々、梨園関係者あるいは識者の言を借りて多くの報道がなされてきました。

松竹から「活動の無期限停止」を受けると世間では、海老蔵は被害者なのに処分が厳しすぎる、事件当日の会見をすっぽかして飲みに出かけたのは歌舞伎役者が「かぶいた」程度のことで謝罪会見すら必要なかった、一芸に秀でる人の欠点こそが芸の力となる、それを社会は制裁してはならないとの声も上がってきました。が、しかし、問題はそこではないでしょう。

最大に憂えるべきは、新年1月2日から予定されていた「初春花形歌舞伎」公演が中止され、代わって「坂東玉三郎特別公演」となったことを憂えるべきです。初春公演を久しく行っていなかった玉三郎が引き受けたとき、海老蔵にむけて「歌舞伎界を担う後輩として一生懸命やっていただきたい」と述べています。

玉三郎は御年60歳、海老蔵33歳。

歌舞伎を愛する「ご見物」は、役者に一般常識を求めてはきませんでした。華があり楽しませるのが役者、親の死に目に会えずともご見物の前に立ち舞台を務めるのが役者ではなかったでしょうか。ふだん多くのお酒を飲もうが愚連隊とつきあおうが、舞台に穴をあけさえしなければご見物は許し、浮き名を流すのは芸のこやしと認め、隠し子の存在も見て見ぬふりをしてきたではありませんか。

33歳にもなって、自分の仕事を全うできず、60歳の先輩に負担をかけることこそ恥じ入るべき行いですし、役者の命でもある顔に怪我を負うことこそが問題です。しかし報道で、そこに言及する識者がいなかったことも、また昨今の日本を象徴しているかの事件でした。

三十路を超えても大人になることができない、先人を越える目標を掲げる意志のない日本男児が多くみられる風潮を憂えます。大人として若者を叱咤せざるをえません。一生懸命やっていただきたいですね。