ゆうひの恋 −後編−

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前回の続きです

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彼と付き合って毎日が楽しかった

だけど…


あまり学校に行ってなくて、知らなかったけど、彼は学校では結構有名らしく、
アタシのクラスでは

「皆を出し抜いて彼と付き合っちゃダメ」

…的な暗黙のルールが、女子の間であったらしい


知らなかったとはいえ、アタシはルール違反の抜け駆け女として
女子に盛大に嫌われた


今まで、話す程度はしてた比較的仲の良かった子達にも、無視されるようになった


廊下ですれ違った面識のない先輩に、すれ違いざまに

「うざい」

と言われたこともあった

すぐに彼氏と付き合ってることに対してだと、ピンときた


でも、彼氏には絶対知られたくない

アタシが自分のせいで嫌われてる
なんて知ったら、きっと傷つけてしまう


彼は
アタシの悩みは何でも聞いてくれるし、いつもその大きな身長ですっぽりアタシを包み込んでくれる…
厳しい世の中から、一時的に守ってくれる…
それがすごく安心できる…

だからアタシも彼を守りたい
学校で嫌われ者なんて微塵にも感じさせないくらい彼の前ではニコニコして、
安心させたいんだ



そんな感じで学校生活を送り、卒業して1年が経った


「俺、来年、実家に帰るんだ」

「え…!?」

突然彼が打ち明けた

彼の実家はここから離れていて、帰るって事は、今の一人暮らしの部屋を出るって事なんだろう



親が体調不良で、自分が跡継ぎになるって話だ


「だから、ゆうひ お前もこいよ…?」


アタシは子供だったけど、言葉の意味はわかっていた


頭が真っ白になった

あまりにも
突然未来の事を決めなくちゃならなくて


「ちょっと…考えさせて」

彼からしたら意外だったかもしれない

お互い好きなのに躊躇するなんて


でもアタシは
どこかで眠っていた
何かに挑戦したい気持ちが、フツフツと沸き上がってくるのを感じた


このまま彼について行けば、幸せが待ってるかもしれない


でも
この不完全燃焼な気持ちはどうしたらいい?



中途半端に高校を出て、中途半端に働いて、
何も形にできないまま…


親に「やっぱりお前はろくでもない」
ってレッテルを貼られたまま…



落ち着くのが

恐かった


例えば5年後、この時のプロポーズを断った事を後悔してるかもしれない


でもアタシは
今、中途半端に家庭に入るよりは
後悔しない気がして泣きながら、その気持ちを彼に話した


普段、不器用で、なかなか自分の気持ちを言えないアタシは、ぎこちない言葉で表現するのが精一杯だったんだけど、
だんだん彼は分かってくれた


「ゆうひ、焦らせてゴメンな

ゆうひがたまに、今の生活や将来に不安を感じてるの、何となく伝わってきたから…
俺なりに考えてたんだけど、
全然検討違いだったな

ゆうひはゆうひの足で歩きたいんだよな…」


アタシは泣きながら、黙って聞いていた
彼は彼の思いやりで
未来の事、考えてくれてたんだね



「いつも我慢させてゴメンな

俺、ゆうひが俺のせいで学校でイジメられてるの、必死で隠そうとしてた事気づいてたよ

でも言うことで余計に無理させそうで言えなかった

でも今考えたら、それってすごい無責任だよな…」



「そんな事ないよ

でもやっぱり…〇〇君は昔っから、アタシの事は何でもお見通しだね…

アタシこそ
ずっと隠しててゴメンね」





アタシは
お互いが好き合ってても、恋に終わりがくる事を
初めて知った


なんて切ない別れだろう…



これから彼なしで
生きて行けるのかな…



別れ際

彼が言った


「ゆうひが真剣に美術の授業に打ち込んでたの、覚えてるよ

ゆうひはきっと…
そうゆう、自分を表現する仕事が合ってると思う」





ありがとう

あなたが言うなら、きっと間違いないよ




今アタシは
自己表現する仕事をしています



アナタは今幸せですか?








アタシは…


幸せです