ショートストーリー

部屋の窓から見える黄色い銀杏の木を眺めながら物思いにふけっていた。

銀杏の木を見ると今でもあのことを思い出す。

当時付き合っていた人、そして最後に付き合った人…

時が経つのは早いもので、あれからもう10年になる。



好奇心旺盛な彼女は軽い足取りでいつも俺の前を歩いていた。
デートをしてると何かを見つけてはそこへ足早に向かって行ってしまう。
そして俺はそんな彼女のあとを着いて行くようにして歩く。

たとえば遊園地に行ったときなんかは次から次へと乗りたいアトラクションへ向かって足早に動きまわり、そのあとを着いて行く俺はまるで保護者の心境だ。

やがて「お腹が空いたぁ」と言って俺に「なに食べようか?」と尋ね、「そうだなぁ」と考える間もなく「あっ!あれ食べたい♪」と見つけたお店に向かってまた歩き出す。

よくそんなに次から次へと欲求が出てくるものだと感心させられる。


彼女は何かをするときはまず尋ねてくる。

「あれに乗りたいな」

「次はあれに乗ろうか」

「なに食べようか」

そんなとき俺は決まって「いいんじゃないか」と答えていた。



買い物に行ったときは、

「ねぇ、この服とこの服どっちがいい?」

「そうだなぁ」

「こっちはどう?」

「うん、いいんじゃないか」



旅行の計画を立てるときは、

「ねぇ、今度の連休どこに行こうか?」

「そうだなぁ、そろそろ紅葉が見頃だし山とかどうかな」

「あっ、ここ行きたくない?」

持っていた旅行雑誌を俺に見せて

「ほら、この海が見える露天風呂気持ち良さそう♪」

「おぉ、いいんじゃないか」



「今のバイト変えようと思うんだけどどう思う?私に合いそうなところ見つけたんだ

「いいんじゃないか」

「そうだよね!よし、履歴書かこっと」


俺に尋ねるときはおそらく彼女の中では既に決まっているのだろう。
俺の返事を聞いて納得したいのか安心したいのか、それとも彼女の求める答えに誘導されているのか。
どちらにしても、俺は彼女が良ければそれでよかった。

仕事帰りや週末の空いた時間、休日はあたりまえのように会っていた。
彼女の笑顔、居心地の良い時間。
男は幸せの中にいるとつい油断してしまう。
それが不変であるとは限らないのに。
思いもよらないハプニングによってその後の人生が変わることもある。


あれから10年。

あの時の出来事、胸を締め付けるような思いは今も心の中に残っている。
それはとても小さなハプニングがきっかけだった。

付き合ってもう5年になろうとした頃それは起こった。



今日はここまで。
眠い…
続きはまたアップします(^^)