ジ・コントローラーZERO 第12話『コントロール』

「違う…んですか?」



「最初から話せば…私がお前を現地にやったのは、現実と机上の空論のズレを味わわせるためだ」



「ズレ…?」



「うむ。お前は社会論(正論)をぶつける事が正解だと思っていただろう。しかし現実はどうだったかねうまくいかなかった。何故だ?」



「それは…相手が僕を年齢で判断したから」



「普通は思った通りにはいかないものだからな」



「ではどうすれば…」



「それが“こちらを向かせる”という事だ。私はな、H国の首脳に『近々戦争になるかもしれないから準備をしておいた方がいい』と言い、H国の卸問屋数件に『戦争がおきるらしいな?』と言っただけだ」



「! つまりそれが…戦争を警戒させた…」




「その通り。さらに人間は“既にそうなっている”という報じられ方を疑わず信じる。それを相手を選んで吹き込んだという訳だ。それも電話でな」



「!」



「こうした細かい話の集合体が人を“コントロール”し、お前を救ったのだ。また、戦争になるならば細かい欲は捨て、勝利を大前提としなくてはならないとアシュラフは判断した。より大きな目的を提示して目先を変えるというのも、コントロールの基本だな」




「…電話だけで…僕を救ってくれたのですか」




「さらに乱暴な手段もあったが、最もカロリー消費が少ないのはこの方法だったんでな」



つまり、祖父は僕が失敗する事を前提…というより失敗させるために送り込んだのか



様々な事を教えるために。



なんという凄い人だろう。



この人は過去にプレイしたチェスのように何手も先まで頭にある…。



祖父にとっては僕の緊張も失敗もウサーマの利権も他国の戦争も、全て盤上の素材にすぎないんだ。




「超能力…みたいですね」



「ブフッ」



普段はほとんど口を開かないモーガンが吹き出した。




「旦那様、ついに坊ちゃんも言いましたね」



「ああ…千ドルだったな」



「なんですか?」



「今口にしたみんなが言う台詞を坊ちゃんが言うか言わないか旦那様と千ドル賭けてたんですよ」



「お前が来た日にな。ジョー、これは超能力のようなまがい物ではない。全てを司る、理論に基づいた技術…“コントロール”だ」




「コント…ロール!」



「そしてお前は私の跡を継ぎ“コントローラー”になるためにこの家に来たのだ」