ジ・コントローラーZERO第11話『解放』

「ジクラル海峡を隔てたH国がわが国に戦争を仕掛けてくる事になった。海峡封鎖をするつもりだろう。ウサーマ、お前の国の港は海峡の外だろう、それを使わせろ!」




「なんだって?」




「封鎖など戦って打ち破ってやるが、石油を輸出するためのタンカーが撃沈される事は避けねばならないからな」



「そんな簡単に…油田の話が先だろう!」




「くっ…ではお前達の話を聞いてやる」



僕は予定通りの話をし、アシュラフは同意した。



「では道路だ!」



「待ってくれ。戦争ともなれば、道路の提供によって、お前の国と同盟を結んでいるともとられかねない。国王に相談しなければ。この油田の契約を手土産にもって行き好意的な評を引き出してこよう」



「ウム。頼んだぞ」






こうしていとも簡単に窮地から脱出した僕とウサーマは、狐につままれたようだった



「なんだったんだ…」



「なにはともあれ進展したんだ。ありがとう、ジョー」



「いや、僕は何も…」



「運を味方につけるのもよき戦士の証だよ。空港まで送らせよう。またいつか…会いたいものだ」



「僕を一人前に扱っていただいた事は忘れません。いつかあなたが困った時…必ず僕が力になります」






そして僕は、また長いフライトを経てLAの地に足を下ろした。




執事のモーガンに出迎えられ帰宅すると、すでに食事が用意されており…僕が味わったアップダウンを、祖父は眉ひとつ動かさず話を聞いていた。




「という感じでした。運が良かったとしか…」



「フム。まず…正論を用意しても、相手が聞かなければなにもならないという事がわかったかね」



「はい。今回は見た目で判断されてしまいました」



「いいか? 最初は『話を聞くように仕向ける』事から始めるのだ。単に相手にされるという意味だけではない。話を好意的に聞く土壌を作るという事でもある訳だ」



「なるほど…」



「つまり内容は“弾”であり、それを撃つには話を好意的に聞かせる土壌の“銃”が必要なのだ。それはある時はシチュエーション、ある時は脅し、ある時は手品…なんでもいいから心を話す内容に向けさせれば良い」



「!…わかりました」



「それから」



「はい」



「フフ…お前は本当に運が良く偶然戦争が起きそうだと思っているのか?」